令和4年版厚生労働白書 (305 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
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現下の政策課題への対応
(4)年金積立金の管理・運用
1 年金積立金の管理・運用の概要
年金積立金の運用は、「積立金が、被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、
将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら被保険者の利益の
ために、長期的な観点から安全かつ効率的に行う」ことが法律で定められている。
2019(令和元)年財政検証で設定された複数の経済前提をもとに、各ケースに対応で
きる長期の実質的な運用利回り(名目運用利回り-名目賃金上昇率)1.7%を運用目標と
し、厚生労働大臣が定めた年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。
)の
中期目標において、「長期的に年金積立金の実質的な運用利回り 1.7%を最低限のリスク
で確保すること」とされている。これを受けて、GPIF において、リターン・リスク等の
特性が異なる複数の資産への分散投資を基本として、長期的な観点からの資産構成割合
(基本ポートフォリオ)を定め、これに基づき年金積立金の管理・運用を行っている。
GPIF による年金積立金の管理・運用は、運用受託機関等(信託銀行や投資顧問会社)
第
に委託して行うほか、国内債券等の一部の資産については自家運用により行っている。
5
章
2 年金積立金の管理・運用の考え方
つ、効率的な運用を行っていくことが必要である。また、おおむね 50 年程度は取り崩す
必要がない資金であるため、一時的な市場の変動に過度にとらわれる必要はなく、様々な
資産を長期にわたって保有する「長期運用」により、安定的な収益の獲得を目指してい
る。長期的な運用においては、短期的な市場の動向により資産構成割合を変更するより
も、基本となる資産構成割合(基本ポートフォリオ)を決めて長期間維持していく方が、
効率的で良い結果をもたらすとされている。GPIF では、基本ポートフォリオに基づいて
運用を行っており、実際の運用における資産構成割合が基本ポートフォリオから乖離した
場合には適時適切に資産の入替え等(リバランス)を行っている。
また、GPIF では、国内外の様々な資産に分散投資を行っている。株式は、短期的な価
若者も高齢者も安心できる年金制度の確立
GPIF が管理・運用を行う年金積立金は巨額であるため、市場に与える影響に留意しつ
格変動リスクは債券よりも大きいものの、長期的に見た場合、債券よりも高い収益が期待
できる。株式を適切に組み入れて運用することで、国内外の企業活動やその結果としての
経済成長の果実を「配当」及び保有株式の「評価益」という形で取り込むことにより、最
低限のリスクで年金財政上必要な利回りを確保することを目指すとともに、国内だけでな
く、外国の様々な種類の資産に分けて投資することで、収益獲得の機会を増やし、世界中
の経済活動から収益を得ると同時に、資産分散の効果により、大きな損失が発生する可能
性を抑える運用を行っている。
GPIF が重視しているリスクは、「市場の一時的な変動による短期的なリターンの変動
(ブレ幅)
」ではなく、「年金財政上必要とされている長期的な収益が得られないこと」で
あり、GPIF は、様々な指標を専門的に分析し、市場の一時的な変動による短期的なリ
ターンの変動にも配慮しながら、長期的な収益が得られないリスクを抑えることを重視し
た運用を行っている。
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厚生労働白書
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