令和4年版厚生労働白書 (142 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
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介護ロボット等の導入を支援している。
第
章
2
コラム
“ 試しに使って効果を実感! ”
介護ロボット普及推進事業(岡山県岡山市)
岡山県岡山市では、2019(令和元)年 7
担い手不足の克服に向けて
月から、地域医療介護総合確保基金
*1
を活用
関のフィードバックをもとに、新たなロ
した事業により、市内の介護事業所に無償で
ボットの開発及び改善に反映する。
介護ロボットを貸与している。介護事業所が
2.利用効果の検証
生産性を高めてサービスを提供できるように
するための工夫を紹介する。
介護現場の声を背景に実施
この「介護ロボット普及推進事業」を開始
した背景には、岡山市が介護事業者へ実施し
た介護ロボットに関する聞き取りがある。そ
こでは、
「高額である」や「購入後の効果が
イメージできない」との声が多く、まず購入
に至るまでに壁があることを把握した。また
介護ロボットを利用した介護事業所は、
岡山市から委託を受けた利用効果検証に係
る調査機関へ利用に関する調査票を提出す
る。調査機関は調査票の分析結果を市に報
告する。
介護ロボットのレンタルは利用促進に効
果あり
2021(令和 3)年度の調査票の分析結果
からは、介護ロボットの導入前と比べて、介
購入し導入したとしても、介護職員が扱いづ
護職員の心理的負担変化につき平均 0.42 点
らさを感じて使用されなくなる事例を確認し
(軽減したと感じる)、職場の活気の変化につ
た。
き平均 0.53 点(向上したと感じる)の効果
があった*2。
介護ロボットの貸与と利用効果の検証の
2 本柱
確に把握できるようになり、適時適切なケア
介 護 ロ ボ ッ ト 普 及 推 進 事 業 は、「 介 護 ロ
を提供できるようになったとの回答もあり、
ボットの貸与」と「利用効果の検証」の 2 本
ケアの質の向上にも寄与することが確認でき
柱で実施している。
た。利用者からは、コミュニケーション、生
1.介護ロボットの貸与
岡山市は介護職員の負担軽減と利用者の
活の質の向上及び社会参加の機会の拡大に寄
与していることを確認した。
同事業の対象としたロボットについて、利
介護ロボットを選定している。これまで
用前は介護事業所における認知度が分野別に
に、移乗、移動(2019 年度のみ)
、リハ
6.7~21.3%と高くない傾向であったが、導
ビリ、コミュニケーション、見守りに資す
入後は、介護ロボット全般の今後の利用につ
る 7 機器を貸与してきた。次に、開発企業
いて「利用したい」で 11.4%、「どちらかと
から介護事業所へ 3 か月間(第 1 期:7~
いえば利用したい」で 36.7%と、この事業
9 月または第 2 期:11 月~1 月)、ロボッ
を利用した介護事業所の約 5 割が利用に前向
トを貸与している。介護事業所は介護職員
きとなった。
らい、現場の意見等を開発企業へ報告す
る。
*1
*2
令和 4 年版
また、介護職員からは、利用者の状況が的
自立支援に効果が特に高いという観点から
及び利用者に実際にロボットを利用しても
128
開発企業は介護事業所の意見や、調査機
今後とも介護ロボットの普及を推進
岡山市では、介護ロボットの活用に関する
都道府県が地域の事情に応じて地域における医療及び介護の総合的な確保のための事業実施計画を作成し、同基金に基づき
事業を実施する仕組み。詳細は第 2 部第 7 章第 1 節 2 を参照のこと。
± 3 点の範囲で選択し、点数が高くなるほどプラスの変化がある。回答者数は介護職員 308 人である。
厚生労働白書