令和4年版厚生労働白書 (129 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
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コラム
社会保障を支える人材の確保
地域で伴走できる介護を目指して法人をグループ化
(社会福祉法人グループ・リガーレ)
社会福祉法人グループ・リガーレでは、京
その改善に向けて各法人が策定する行動計画
の実践状況の確認を目的に行われている。週
り、人材確保・育成や地域密着型サービスの
1~2 回の巡回訪問では、改善に向けた助言
整備などで成果を上げている。
を行うほか、役職者のマネジメントの相談や
も対応している。巡回訪問による課題の発見
と改善の取組みにより、これまで個人の能力
介護が必要になっても住み慣れた場所で安
で解決し共有されなかった課題が施設全体の
心して暮らし続けるためには、切れ目のない
問題として捉えられ、解決が図られるように
様々な地域密着型の介護サービスの提供が不
なった。
可欠である。そんな思いから、特別養護老人
統一研修はリガーレ本部を含めたグループ
ホーム等福祉施設を運営する法人が集まる京
法人を対象に実施している。研修体系は職務
都市老人福祉施設協議会が、地域密着型サー
実績に応じて 7 つの階層に分かれ、到達目標
ビスである小規模多機能型居宅介護*2 を増や
を定めて 1 年を通して地域での暮らしを支え
していくことを決めた。2006(平成 18)
るといった理念を基軸に講義と演習を組み合
年度当初は大規模な社会福祉法人を中心に取
わせ、考え、発言する機会を設けることで主
組みが進んだが、規模の小さい法人は新規事
体性を身に付ける組織づくりにつながってい
業に着手するノウハウがなく、担当職員の配
る。また、1 法人当たりの新規採用者は年 2
置も難しい状況であった。そこで、2010
~3 名だが、統一研修により 20 名程が仲間
(平成 22)年、地域密着型拠点の整備経験が
となり横のつながりもできる。他にも 3 つの
ある法人・人材が、こうした小規模法人のサ
資格取得研修を提供しており着実なキャリア
ポートを決め、2012(平成 24)年、リガー
アップを支援している。年間 60 回以上、参
レ本部が発足した。
加者延べ 1,000 人程となるこの統一研修は、
人材育成等の両輪を担うスーパーバイ
ザーの巡回訪問と統一研修
リガーレ本部は、働き続けられる職場環境
づくりや着実な成長を促す人材育成、ケアの
質の向上に向けた取組みを牽引している。そ
スーパーバイザーと各法人の介護責任者が毎
月集まる会議の場で企画されている。
労働条件等を統一し、共同採用・人事交
流を実施
リガーレは、グループ共同での人材確保に
の両輪を担うのがスーパーバイザーによる巡
も力を入れている。各法人が委託費を出し
回訪問と統一研修である。
合って確保している人材確保専任職員を中心
リガーレ本部の人材・開発研究センター部
に、入職 2~3 年目のリクルーターが各施設
門*3 には、人材育成専任職員として特別養護
をまわるバスツアーなどのイベントを企画・
老人ホームなどの施設長等を経験し、研修や
開催している。若手職員が外に向かって組織
人材育成に関してキャリアを有するスーパー
の魅力を発信することで、組織の活性化にも
バイザーを 2 名配置している 。
なっている。
*4
巡回訪問は、法人ごとの課題の発見
*1
*2
*3
*4
*5
*5
と、
担い手不足の克服に向けて
地域で必要な介護サービスを提供したい
という思いから生まれたグループ化
リーダー層が抱えるチーム課題の相談などに
2
章
が集ま
第
都府を中心に複数の社会福祉法人
*1
2020(令和 2)年以降の新型コロナウイ
リガーレ暮らしの架け橋(京都府、グループ本部)、北桑会(京都府)、はしうど福祉会(京都府)、六心会(滋賀県)、宏仁
会(青森県・千葉県)の 5 法人。これとは別に、15 法人で京都地域包括ケア事業研究会を立ち上げ、統一研修、経営支援、
年 3 回の研修会を実施している。
事業所への通い、短期間の泊まり、利用者の自宅への訪問を組み合わせ、日常生活での支援や機能訓練を行う。その日の状
態に応じて柔軟な対応ができる。
リガーレ本部のある地域密着型総合ケアセンター「きたおおじ」に設置している。
配置されている 2 名のうち、1 名は社会福祉士・介護福祉士の資格を持ち、他の 1 名は認知症認定看護師で構成される。
各法人の課題を発見し改善するためのツールで、「1.研修・人材育成」
「2.会議・記録・情報共有」
「3.組織性・組織機能」
「4.設備・環境」
「5.職員配置」
「6.暮らしの支援」の 6 つの項目で構成される。
令和 4 年版
厚生労働白書
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