令和4年版厚生労働白書 (393 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
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現下の政策課題への対応
性感染症対策について
性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、
尖圭コンジローマ、梅毒、淋菌感染症(以下「性感染症」
という。)は、性的接触を介して誰もが感染する可能性が
あり、生殖年齢にある男女を中心とした大きな健康問題で
ある。特に梅毒については、2011(平成 23)年以降報告
数が増加し、2017(平成 29)年には、1973(昭和 48)
年以来、44 年ぶりに報告者数が 5,000 件を超え、2018
(平成 30)年には 7,000 件を超えた。2019(令和元)年、
2020(令和 2)年は減少したが、2021(令和 3)年は再
び 7,000 件を超えた。性感染症は、感染しても無症状であ
るか症状が軽く、感染者が治療を怠りやすいという特性が
あることから、本人に自覚がないまま、感染が拡大する可
能性や、感染者本人にとって不妊などの後遺障害、生殖器
©Naoko Takeuchi
キャラクターを起用した啓発ポスター
(平成 28 年 11 月~)
性感染症のまん延を防止するための具体的な対策としては、保健所での性感染症検査や
性感染症に関する相談・普及啓発事業について、都道府県等に対して補助を実施し、毎年
11 月 25 日から 12 月 1 日の間を「性の健康週間」と位置づけ、性感染症予防のための普
及啓発活動を特に集中的に行うなどの取組みを行っている。
また、2012(平成 24)年 6 月に厚生労働省ホームページに開設した、性感染症に関す
る専用ページにおいて、性感染症に関する情報発信に努めている。加えて、発生動向に関
なお、性感染症対策については、
「性感染症に関する特定感染症予防指針」(平成 12 年
8
章
厚生省告示第 15 号)を踏まえ、コンドームなどによる性感染症の予防効果などに関する
第
する疫学調査や検査・治療等に関する研究開発を関係機関と連携して取り組んでいる。
健康で安全な生活の確保
がんの要因となる場合があること等も問題である。
情報提供を進め、性器クラミジア感染症、淋菌感染症についてはより精度の高い病原体検
査を推進していくこと、学会などと連携して医療の質を向上させること、性感染症検査の
奨励など、更に対策を推進していく。
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薬剤耐性(Antimicrobial Resistance:AMR)対策について
1980 年代以降、ヒトに対する抗微生物薬の不適切な使用等を背景として、病院内を中
心に、抗微生物薬が効かない新たな薬剤耐性菌が増加した。こうした抗微生物薬が効かな
くなる薬剤耐性(以下、AMR)の問題については、2011(平成 23)年、WHO が世界
保健デーで取り上げ、ワンヘルス・アプローチ(ヒト、動物といった垣根を超えた世界規
模での取組み)に基づく世界的な取組みを推進する必要性を国際社会に訴え、2015(平
成 27)年 5 月の世界保健総会では、AMR に関するグローバル・アクション・プランが採
択された。翌月のドイツ G7 エルマウサミット、2016(平成 28)年の G7 伊勢志摩サミッ
ト、G7 神戸保健大臣会合においても、AMR が主要課題の一つとして扱われ、ワンヘル
ス・アプローチの強化や新薬等の研究開発の必要性等について議論された。
我が国では、これまでも、主要な薬剤耐性感染症を感染症法上の五類感染症に位置づけ
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厚生労働白書
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