令和4年版厚生労働白書 (181 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
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現下の政策課題への対応
で、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は一貫して増加し、2020
会全体で取り組むべき喫緊の課題である。
(2)児童虐待防止対策の取組み状況
①児童福祉法等の改正について
上記のように、児童虐待相談対応件数の増加や、東京都目黒区で発生した児童虐待事案
等を受けて、2018(平成 30)年 6 月 15 日に「児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議」
を開催し、内閣総理大臣から、子どもの命を守ることを何より第一に据え、全ての行政機
関が、あらゆる手段を尽くすよう、緊急に対策を講じることについて指示があった。
子どもを産み育てやすい環境づくり
る。子どもの生命が奪われるなど重大な児童虐待事件も後を絶たず、児童虐待の防止は社
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章
(令和 2)年度には児童虐待防止法制定直前の約 18 倍に当たる 20 万 5,044 件となってい
第
164 号)の累次の改正や、民法などの改正により、制度的な充実が図られてきた。一方
この指示を受け、対応策を検討し、同年 7 月20日に同関係閣僚会議において、
「児童虐待
防止対策の強化に向けた緊急総合対策」を決定した。同対策においては、転居した場合の
児童相談所間における引継ぎルールを見直し・徹底すること、
「児童相談所強化プラン」を
前倒して見直すこと等としているほか、相談窓口の周知、より効果的・効率的な役割分担・
情報共有、適切な一時保護、保護された子どもの受け皿確保などを講じることとしている。
さらに、同対策に基づき、同年 12 月 18 日に、児童虐待防止対策体制総合強化プラン
(新プラン)を決定し、児童相談所及び市町村の体制強化に向けて、2022(令和 4)年度
までに、児童福祉司を約 2,000 人増加させることや市区町村子ども家庭総合支援拠点を全
市町村に設置すること等としている。なお、児童福祉司に関する目標については、新プラ
ンの計画を 1 年前倒し、令和 3 年度までに約 5,260 人の確保を目指すこととした上で、児
童虐待に関する相談対応件数が引き続き増加している状況等を踏まえ、令和 4 年 1 月 20
日に、令和 4 年度の目標を 5,765 人とすることを決定した。
また、2019(平成 31)年 2 月には、千葉県野田市で発生した事案を受けて、関係閣僚
会議を開催し、通告元の秘匿や関係機関の連携等に関する新ルールを設置することを内容
とする「
「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」の更なる徹底・強化について」
を決定した。
同年 3 月には、関係閣僚会議において「児童虐待防止対策の抜本的強化について」を決
定し、2019(令和元)年 6 月には、体罰禁止の法定化、児童相談所における一時保護等
を行う「介入」の担当者と「保護者支援」の担当者の分離、児童相談所における弁護士等
の配置促進、DV 対策との連携強化を内容とする「児童虐待防止対策の強化を図るための
児童福祉法等の一部を改正する法律」
(令和元年法律第 46 号)が成立し、一部の規定を除
いて 2020(令和 2)年 4 月 1 日に施行された。これらの対策に基づき、財政的な措置が
必要なものについては、引き続き地方交付税措置を含め予算編成過程において検討をする
とともに、制度的な対応が必要な事項についても検討を行うこととしている。
これまでこうした対策を講じてきたところであるが、依然として子ども、その保護者、
家庭を取り巻く環境は厳しいものとなっている。例えば、子育てを行っている母親のうち
約 6 割が近所に「子どもを預かってくれる人はいない」といったように孤立した状況に置
かれていることや、各種の地域子ども・子育て支援事業についても支援を必要とする要支
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