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令和4年版厚生労働白書 (166 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf
出典情報 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》
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正社会福祉法において、新たに重層的支援体制整備事業(以下「重層事業」という。
)が
創設された。重層事業は、市町村において、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに
対応する包括的な支援体制を整備するため、対象者の属性を問わない相談支援、多様な参



2

加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に行う事業であり、2021 年度には 42 市町が
実施した。また、2022(令和 4)年度には 134 市町村が実施しており、今後も重層事業
の効果的な実施を推進していくこととしている。

担い手不足の克服に向けて

重層事業の創設とともに、2021 年度は、2023(令和 5)年度以降に重層事業へ移行す
るために必要な経費を市町村に補助する重層事業への移行準備事業、市町村の包括的な支
援体制整備の後方支援を行うために必要な経費を都道府県に補助する都道府県後方支援事
業、重層事業に従事する支援員等を対象に国が研修等を行う人材養成事業を創設した。さ
らに、地域共生社会の実現に向けた気運を醸成するため 2021 年 4 月に地域共生社会の
ポータルサイトを開設した。
各地域で重層的支援体制の整備が進む中、地域住民主体の活動を支援することで地域全
体を「まるごと」受け止め、支える仕組みづくりに取り組む事例を紹介する。また、
「ゼ
ロ線支援(地域住民やボランティア)」を重要視するオランダの事例を紹介する。

コラム

地域を「まるごと」受け止め、支える仕組みづくり
(福井県坂井市)

地域共生社会の実現に向けて-住民をま
るごと支える仕組みの構築-

が、具体的な支援

和 3)年度に重層的支援体制整備事業

が施

の連携に苦慮して

行され、各地域では本事業を活用した様々な

い た。 そ こ で、

取組みが繰り広げられている。ここでは、本

2017(平成 29)

事業の創設以前から地域住民主体の活動を支

年度に国のモデル

援することで、地域全体を「まるごと」支援

事 業 を 活 用 し、

する仕組みづくりに向けた取組みを行ってい

「断らない」相談

地域共生社会の実現に向けて、2021(令
*1

た福井県坂井市の事例を紹介する。

「断らない」相談支援体制の構築まで

に結びつけるため
の各分野の担当と

支援体制づくりに
向けた庁内外関係

坂井市相談支援包括化推進会議
の様子

者との活発な議論を経て、高齢・障害・生活

福井県坂井市は、県北部に位置し、約 9 万

困窮分野の関係者が集まった「相談支援包括

人 が 暮 ら し て い る。 他 方 で、2040( 令 和

化推進会議」を設置した。さらに、2018

22)年には人口が約 7 万 5 千人まで減少し、

(平成 30)年度にはメンバーに子ども分野の

高齢化率が 36.6%となることが予測され、

担当も加わり、既存の分野別の相談機関では

以前から少子高齢化や複雑化・複合化した課

解決できない複合的な課題に対応するため、

題に対応した市の体制が求められていた。こ

「相談支援包括化個別会議(さかまる会議)」

うした中、市では生活保護や生活困窮者自立

を設置した。あわせて、防災・教育・まちづ

支援を担当する部署が中心となって 2016

くりなど、福祉分野以外の機関も含めた “ 身

(平成 28)年度に福祉総合相談室を設置した

近な相談拠点 ” で相談や見守りができる体制

* 1 「重層的支援体制整備事業」とは、市町村において、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制
を構築するため、相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施する事業(任意事業、令和 3 年度は 42 自治
体が実施)。

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令和 4 年版

厚生労働白書