令和4年版厚生労働白書 (439 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
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第 10 節
1
現下の政策課題への対応
医薬品・医療機器による健康被害への対応
医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度
国民の健康の保持増進に欠かせない医薬品は、適正に使用し
ても副作用の発生を完全に防止できず、時に重い健康被害をも
たらす場合があることから、迅速かつ簡便な救済を図るため、
1980(昭和 55)年 5 月に、医薬品製造販売業者等の拠出金を財
源とする医薬品副作用被害救済制度が創設された。2004(平成
16)年度には、適正に使用された生物由来製品を介した感染等
による健康被害に対して生物由来製品感染等被害救済制度が設
けられている。
医薬品副作用被害救済制度では、これまでに 20,256 名(2022
(令和 4)年 3 月末時点)の方々に救済給付が行われており、近
よう、テレビや新聞等を活用した広報や医師、薬剤師などの医療関係者を中心とした広
報、医療機関等が開催する研修会への講師派遣などを行っている。
2
薬害被害者への恒久対策
サリドマイド製剤やキノホルム剤、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した血液製
剤など医薬品の使用により生じた健康被害については、訴訟の和解に基づいて手当の支給
第
や相談支援事業などの恒久対策を実施してきている。
健康で安全な生活の確保
年給付件数が増加している。最近の取組みとしては、必要な時に制度が適切に活用される
8
章
(1)サリドマイド訴訟
1959(昭和 34)年頃から妊娠中の母親がサリドマイド製剤(鎮静催眠剤など)を服用
したことにより、四肢、耳などに重篤な障害のある子どもが出生した事件で、1974(昭
和 49)年 10 月に和解が成立した。和解に基づいて設立された「サリドマイド福祉セン
ター」
(公益財団法人いしずえ)では、和解一時金の一部を長期継続年金として被害者に
支給するとともに、国の補助を受けて被害者の生活全般に関する相談・生活支援のための
事業を実施している。
(2)スモン訴訟
昭和 30 年代から発生した腸疾患加療中に神経炎症状や下半身麻痺症状を併発した原因
不明の疾病(スモン=亜急性脊髄視神経症)は、その後キノホルム剤(整腸剤)が原因で
あると判明し、1979(昭和 54)年 9 月に和解が成立した。国は介護費用の支給費の一部
を負担するとともに、難病対策(特定疾患治療研究事業)の一環としての医療費の公費負
担、厚生労働科学研究費補助金による調査研究、はり、きゅう、マッサージの利用料補助
などの事業を実施している。2012(平成 24)年には、公的支援の内容をまとめた「スモ
ン手帳」をスモン患者に配布した。
令和 4 年版
厚生労働白書
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