令和4年版厚生労働白書 (111 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf |
出典情報 | 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》 |
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コラム
社会保障を支える人材の確保
働き方改革を考える~オール九州がんセンターでの取組み~
(国立病院機構九州がんセンター)
信しているが、ある部門で「無理と思ってい
たっては、一方で医療の質を下げることが
たけど、やってみたら案外できた」という報
あってはならない、むしろ改革によってその
告が他部門にも伝播して、各部門内でのタス
質を高めるという視点を持つことが重要であ
ク・シフト/シェアが促進されている。この
る。そのためには職種間の垣根を超えたタス
ように、働き方改革推進チームを中心に全職
ク・シフト/シェアが要求されるが、その
種の働き方改革を進めながら、相互理解を深
ベースには全スタッフ間の対等なパートナー
める取組みを継続している。
働き方改革への理解は、大きな部門だけで
シップが必須である。
は足りない。全職種、例えば医師事務作業補
助者や看護クラーク等を一つの部門として認
識し、幹部の部門訪問の対象として関係を築
いている。これも、垣根のないオール九州が
2
担い手不足の克服に向けて
医療従事者の働き方改革を推進するに当
章
の各診療等部門の働き方改革の進捗情報を発
第
病院全体の働き方改革への取組み
んセンターの土壌作りの一環である。
医師の働き方改革のためのタスク・シフ
ティング/タスク・シェアリングの具体
的取組み
九州がんセンターでは、以下に取り組んで
国立病院機構九州がんセンター(藤
也寸
志病院長、以下「九州がんセンター」とい
いる。
(1)当直医と当番医の役割分担
う。
)では、パートナーシップの確立のため
夜間の患者の死亡確認とお見送りは主治医
には、まず土壌・風土づくりが必要なため、
ではなく当直医の担当とした。また、時間外
2016(平成 28)年から、「オール九州がん
診療も当番医または当直医が行い、主治医に
センタープロジェクト」と命名して全職種横
よるインフォームド・コンセント*1 は診療時
断的な広範囲にわたるチームを作り、リー
間内に実施することを徹底した。実施前は全
ダーとメンバーを指名し毎年多くの活動をし
診療科の認識共有に加えて看護師の理解と協
ている。さらに、パートナーシップの確立の
力が必須であると考えられたが、現時点では
前提である相互コミュニケーションの向上を
課題等はなく、実施できている。
目指して、オール九州がんセンタープロジェ
(2)医師の負担軽減計画の策定
クトでプロコーチを導入し、コーチングプロ
看護部・薬剤部等 5 部門が、医師業務でタ
ジェクトを進めている。多くのメンバーがこ
スク・シフト/シェアできる項目を自ら考
のプロジェクトに参加して、職種や立場の上
え、全 36 項目の業務がピックアップされた。
下関係なく、コーチングを学びながら相互コ
各々のロードマップを作り、その達成状況が
ミュニケーションを促進している。
チェックされている。例えば看護部は、造影
働き方改革チームの活動と全スタッフへ
の働き方改革の意識の醸成
剤や抗がん剤のルート確保を医師から引き受
けるようになった。ただ、それは九州がんセ
ンターの静脈ルート確保に関するナース育成
オール九州がんセンタープロジェクトの中
プログラムを修了した看護師を育成・認定し
で、
「働き方改革推進チーム」が活動してい
ながら、つまり質を担保しながらのタスク・
る。このチームは、毎年、九州がんセンター
シフトをしていることになる。タスク・シフ
*1
医師と患者との十分な情報を得た上での合意
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厚生労働白書
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