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令和5年版厚生労働白書 全体版 (102 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html
出典情報 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》
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3 章 「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現を目指して

第1節

地域共生社会の実現に向けて

第 1 章及び第 2 章で見てきたように、地域・家族・雇用や日常の様々な場面における
人々のつながりの変化を背景に、いくつかの分野を横断する課題や、属性別に展開されて



3

きた公的な制度では支援が難しい制度の狭間の課題などが表面化している。
制度が長く続いてくると、その存在を前提に、
「制度から人を見る」観点に傾斜しがち

「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現を目指して

であるが、このような新たな課題に対応するためには、
「その人の生活を支えるために何
が必要か」という観点を改めて重視することが必要である(図表 3-1-1)。
また、私たちの生活の安定を脅かすリスクは、誰にでもいつでも起こり得るものであ
る。このことを関係機関や地域住民一人ひとりが意識しながら、お互い助け合うことがで
きる地域づくりに自分ごととして取り組むことが重要である。
こうした観点を踏まえ、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」
「受け手」という関
係を超えて、ポストコロナの令和時代において「つながり・支え合い」のある地域共生社
会を実現するために求められる取組みの方向性について考えてみたい。
図表 3-1-1

分野横断的な対応が求められる課題等の例
【分野横断的な対応が求められる課題、制度の狭間にある課題の例】

●ひきこもりになってからの
期間
→20%以上の方が7年以上
●関係機関への相談経験
→半数以上の方が「ない」

●世話をしている家族が「いる」
→小学生から大学生まで約4~6%
→小中高生は、「きょうだい」の世話をして
いる方が最多。大学生は「母親」の世話を
している方が最多

ヤングケアラー

ひきこもり
介護
8050問題(*6)

障害

生活困窮

●ひきこもり状態の方がいる
世帯で複数の「困りごと」
→約半数の世帯が、3個以上
の「困りごと」を抱える

健康
セルフ・ネグレクト

●必要な医療・介護サービス
を拒否するなどにより社会
から孤立

●世話をしている家族の状況
→「きょうだい」は「幼い」が最多。
「父母」は精神疾患や身体障害、日本語を
第一言語としない場合もある

子育て
様々な困難を抱える
女性

ひとり親

●婦人相談所などの来所相談
→「暴力」が最多
●婦人保護施設等の入所理由
→「暴力」が最多だが、住居問題も多い
●婦人保護施設の入所者の半数近くの女性が、
何らかの障害または病気を抱える
※2024年度より、「婦人相談所」は「女性相談支援センター」に、「婦
人相談員」は「女性相談支援員」に、「婦人保護施設」は「女性自立支援
施設」に名称が変更される。

●母子世帯の平均年間就労収入
→236万円と低い水準
●父子世帯は約半数が相談相手が
いない

その他にも、社会的養護が必要な児
童、病気の治療と就労の両立、育児と
介護の両立、刑務所出所後に生活困
窮に陥る・・etc

制度から人を見るのではなく、「その人の生活を支えるために何が必要か」という観点が大切。
(*1)内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査」(令和4年度)
(*2)内閣府「生活状況に関する調査」(平成30年度)、内閣府「若者の生活に関する調査」(平成27年度)
(*3)令和3年度江戸川区ひきこもり実態調査の結果報告書。ひきこもり状態の方がいる世帯の困りごとは、「自分の健康」、「家族の健康」、「収入・生活資金」が特に多い。
(*4)厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業「ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書」(2020(令和2)年度、2021(令和3)年度)
(*5)厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」 (*6)高齢の親と働いていない独身の50代の子とが同居している世帯に係る問題。

資料:厚生労働省政策統括官付政策立案・評価担当参事官室作成

(ポストコロナの令和時代に求められる新たな「つながり・支え合い」の在り方)
「つながり・支え合い」の概念は拡がりをみせており、これまで見てきたような様々な
課題に対応していくためには、ポストコロナの令和の時代における新たな「つながり・支
え合い」を創出し、人々がつながりをもちながら安心して生活を送ることのできる地域共
生社会を実現することが求められる。
まず、世代や属性、「支える側」

「支えられる側」を超えて、包摂的(インクルーシブ)
な「つながり・支え合い」を創出することが重要である。誰にでも起き得るであろう多様

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令和 5 年版

厚生労働白書