令和5年版厚生労働白書 全体版 (210 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html |
出典情報 | 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》 |
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賃金は労働者の生活の原資であり、最も重要な労働条件の一つである。しかしながら、
第
章
2
企業が倒産して事業主に賃金支払能力がない場合には、実質的に労働者は賃金の支払を受
けることができない実情にある。
このため、
「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づき、企業倒産等に伴い、賃金が
働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など
支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対して、一定の要件の下で、未払賃金の
一部を事業主に代わって政府が立替払する「未払賃金立替払事業」を実施している。
2021(令和 3)年度には、872 企業の 9,560 人に対して約 36 億円の立替払を行った。
5 「労災かくし」対策の推進
災害発生原因を把握し、当該事業場に対し同種災害の再発防止対策を確立させるため、
労働災害が発生した場合には、事業主は災害発生状況やその原因などを記載した労働者死
傷病報告を労働基準監督署に提出しなければならないこととされている。
「労災かくし」とは、故意に労働者死傷病報告を提出しないこと、虚偽の内容を記載し
た労働者死傷病報告を提出することをいう。
「労災かくし」の排除のための対策については、
「労災かくし」により、必要な労災保険
の申請がなされない事案について、全国健康保険協会各都道府県支部から健康保険の不支
給決定者の情報を入手するといった連携等の方策により、
「労災かくし」の疑いのある事
案の把握及び調査を行い、その存在が明らかとなった場合には、司法処分を含め厳正に対
処することとしている。
6 労災補償の現状
(1)労災補償の現状
労働災害については、過重労働の防止や各種の安全衛生対策など、その発生の防止を最
優先課題として取組みを進めているが、労働災害が発生した場合には、労働者の負傷、疾
病、障害、死亡などについて迅速かつ公正な補償が不可欠である。労災保険制度は、業務
上の事由、二以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障
害、死亡などに対して、迅速かつ公正な保護を行うために保険給付を行う制度である。
2021(令和 3)年度の労災保険給付の新規受給者数は 678,604 人であり、前年度に比
べ 25,249 人の増加(3.9%増)となっている。そのうち業務災害(複数業務要因災害を
含む。
)による受給者が 594,278 人、通勤災害による受給者が 84,326 人となっている。
(2)新型コロナウイルス感染症の労災認定
労働者が業務に起因して新型コロナウイルスに感染したものであると認められる場合に
は、労災保険給付の対象となること等について厚生労働省ホームページ等で周知を行って
おり、集団感染が発生した事業場に対しては、労働者へ請求勧奨を実施することを要請し
ている。
労災認定に当たっては、通達等に基づき、迅速かつ公正な労災補償に努めている。
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