令和5年版厚生労働白書 全体版 (55 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html |
出典情報 | 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》 |
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第
つながり・支え合いのある地域共生社会
2 章 福祉制度の概要と複雑化する課題
データに基づいて確認した。続く本章では、各種福祉制度の沿革と現状の大枠を押さえた
第1節
福祉制度の沿革と現状
1 高齢者福祉
(1)介護保険前の高齢者福祉
(日本の高齢者福祉は、老人福祉法制定後に総合的、体系的に推進されることとなった)
福祉制度の概要と複雑化する課題
通して把握する。
2
章
上で、現在私たちの社会が直面している福祉ニーズの複雑化・複合化を、具体的な課題を
第
第 1 章では、人口や世帯、地域社会の変化や今後の見通し、人々の意識の変化について、
日本の福祉制度は、属性別・対象者のリスク別に制度が整備され、専門的な支援が提供
されてきた。
高齢者福祉については、1963(昭和 38)年の老人福祉法(昭和 38 年法律第 133 号)
制定前は、生活保護法(昭和 25 年法律第 144 号)による養老施設への収容保護という施
策程度で、対象者もごく一部の低所得者に限定されていた。世界で初めての老人関係法と
いわれた老人福祉法の制定により、健康診断の実施や、特別養護老人ホーム制度の創設、
老人家庭奉仕員制度(現在の訪問介護員)の法制化など、社会的支援を必要とする高齢者
を幅広く対象とする施策への転換が図られ、高齢者全体の福祉の向上を図るための施策が
総合的、体系的に推進されることとなった。
(1975 年以降、我が国は在宅での高齢者福祉を重視していった)
在宅での福祉は、おおむね 1975(昭和 50)年*1 以降に、従前の施設整備を補完すると
いう意味合いではなく、老後も可能な限り住み慣れた地域社会で暮らしたいという高齢者
の希望を尊重すべく推進され始めた*2。これにより、1978(昭和 53)年以降、ショート
ステイ(寝たきり老人短期保護事業)やデイサービス(通所サービス事業)が国の補助事
業となった。1989(平成元)年には、20 世紀中に実現を図るべき 10 か年の目標を掲げ
た「高齢者保健福祉 10 か年戦略(ゴールドプラン)
」が厚生・大蔵・自治の 3 大臣合意に
より制定され、サービス基盤の計画的整備が図られた。このプランにより、2000(平成
12)年までにホームヘルパー10 万人、デイサービス 1 万か所、ショートステイ 5 万床な
ど在宅福祉施策を飛躍的に拡充することとしたほか、特別養護老人ホームを 24 万床、老
*1
*2
社会保障長期計画懇談会「今後の社会保障のあり方について」
(1975 年 8 月)は「これまでどちらかといえば施設による保護に傾きがち
であった施策の方向を改め、在宅福祉対策を充実し、これを十分に行きわたらせるようにするとともに、施設関係施策もむしろその一環
として位置付けるような配慮が必要である。」とした。また、社会保障制度審議会「今後の老齢化社会に対応すべき社会保障のあり方に
ついて(建議)
」(1975 年 12 月)は「老齢者のための福祉施設の整備は極めて重要であるが、老齢者をかかえた家庭や、近隣との交り
の深い 1 人暮しの在宅老齢者への援助を充実することなく、単に福祉施設に収容することだけでは、老齢者の幸福とはならないことに留
意すべきであろう。
」とした。
高度経済成長の時代が、1973(昭和 48)年の第 1 次オイルショック発生により終わりを告げた。以後、安定成長の時代に入ったこと
も、在宅重視の一因であったとされる。
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厚生労働白書
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