令和5年版厚生労働白書 全体版 (60 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html |
出典情報 | 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》 |
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し えん ぴ
が事業者と対等な関係に基づきサービスを選択肢する利用方式(支援費制度)を導入した。
第
章
2
(2)障害者福祉の現状
(3 障害の支援制度を一元化する障害者自立支援法(現在の障害者総合支援法)が制定さ
れ、地域生活支援、就労支援が充実。支援の必要度の客観的な尺度を導入し、費用も義務
福祉制度の概要と複雑化する課題
的経費化)
支援費制度には、サービス利用の広がりの地域差、精神障害者に対する福祉サービスの
立ち後れが指摘されたほか、財政面では在宅サービスに係る経費が裁量的経費*5 とされて
いたため、支援の必要度の客観的ルールがない中でのサービス利用の急激な拡大により、
政府は 100 億円単位の急激な予算不足に陥った。また、地域移行や就労支援といった課
題への対応も求められた。
このため、支援費制度の問題に対応するだけでなく、これまでの障害者福祉の課題につ
いて、障害者の自立支援という観点から総合的に見直した新法として、2005(平成 17)
年に、
「障害者自立支援法」
(平成 17 年法律第 123 号。現在の「障害者の日常生活及び社会
生活を総合的に支援するための法律」
。以下「障害者総合支援法」という。
)が制定された。
障害者自立支援法では、従前分かれていた身体・知的・精神の 3 障害の支援制度を一元
化し、同法を根拠に行うこととしたほか、次の特徴を有する。
・33 種類に分かれた施設体系を6つの事業に再編し、日中活動支援と夜間の居住支援を分離
・市町村に実施主体を一元化し、都道府県はこれをバックアップ
・新たな就労支援事業を創設、雇用施策との連携を強化
・支援の必要度に関する客観的な尺度(障害程度区分。現在の障害支援区分)を導入
・国の費用負担を義務的経費*6 化、利用者も応分の費用を負担
(難病等を支援対象に追加し、障害者総合支援法に名称変更。以後、サービスの質の向上
やサービス体系の再編に取り組み続けている)
同法は、平成 24 年改正で名称変更、障害者の範囲への難病等の追加などのほか、おお
むね 3 年に一度の改正で、障害者を取り巻く情勢に応じて、支援対象の拡大(重度訪問介
護の対象拡大など)
、支援の質の向上(医療との連携強化など)
、サービス体系の再編(共
同生活介護(ケアホーム)の共同生活援助(グループホーム)への一元化や自立生活援助
などの新設)など、必要な改正を行っている。
(障害者総合支援制度と地域づくりを結ぶ仕組みとして、地域生活支援事業がある)
国によって報酬単価が設定される個別給付である上記障害福祉サービスと並ぶのが、同
法に基づく地域生活支援事業である(図表 2-1-4)。市町村及び都道府県が主体となり、
地域の特性や利用者の状況に応じ、柔軟な形態によって効果的・効率的に行うことができ
る事業で、障害福祉分野における地域づくりなどの役割を果たしている。
*5
*6
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令和 5 年版
一定規模の予算の範囲内で補助、助成等するものであることが定められている経費。医療保険や介護保険の給付のように、かかった費用
を必ず支出、負担等しなければならない義務的経費(後述)とは性質が異なる。
歳出のうち、その支出が法令により、または性質上義務付けられており、裁量をもって減額できない経費をいう。地方公共団体の区分で
は、人件費、扶助費、公債費が狭義の義務的経費であり、障害福祉サービスの給付は扶助費に該当する。
厚生労働白書