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令和5年版厚生労働白書 全体版 (394 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html
出典情報 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》
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血小板製剤においては、その有効性を維持するため、常温で保存する必要があるなどの特
性から細菌感染のリスクがある。そのため、問診、消毒、初流血除去、保存前白血球除
去、有効期限の制限などの種々の安全対策がとられている。それでもなお、輸血用血液製
剤からの細菌感染事例の報告はされており、2022(令和 4)年に細菌が混入した血小板
製剤の投与後、細菌感染により重篤な症状を呈し、死亡した事例が報告された。そのた
め、
「人血小板濃厚液の使用時の安全性確保措置の周知徹底について」
(令和 5 年 2 月 28 日
薬生安発 0228 第 5 号、薬生血発 0228 第 4 号)を発出し、輸血用血液製剤の使用時の安
全対策の徹底について周知している。
また、輸血用血液製剤による E 型肝炎ウイルス(HEV)に対する NAT が 2020(令和
2)年 8 月より全国的に導入された。なお、血漿分画製剤については、2018(平成 30)
年度の安全技術調査会において、現行の製造工程でのウイルス除去・不活化処理により、
HEV に対する安全性は確保されているとの見解が示されている。
輸入感染症については、2014(平成 26)年 8 月に蚊を介して感染するデング熱の国内
感染事例が発生した際、輸血を介して感染するおそれもあることから、献血時の問診など
の強化、国内感染発生地域に行かれた方の献血制限、
「デング熱国内感染事例発生時の対
健康で安全な生活の確保



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応・対策の手引き

地方公共団体向け」
(国立感染症研究所)の記載に感染者への問診事

項として最近の献血の有無の質問の付記など、献血血液の安全対策を講じている。また、
2022 年 7 月に本邦においてヒトのサル痘の患者が報告された際、輸血による感染のリス
クがあることから、献血時の問診による健康状態や感染リスクの確認内容に応じた献血制
限等による献血血液の安全対策を講じている。なお、現在、輸血によるサル痘の感染事例
は報告されていない。
中南米地域に棲息するサシガメ(昆虫)を介する感染症であるシャーガス病に関して
は、輸血伝播を未然に防止するための措置として、中南米諸国に通算 4 週間以上滞在歴の
ある方、中南米諸国出身の方、あるいは母親が中南米諸国出身の方の献血血液は、血漿分
画製剤の原料にのみ使用することを決定し、2012(平成 24)年 10 月 15 日より実施した。
その後、保管検体の抗体検査及び疫学研究の結果を踏まえ、2016(平成 28)年 8 月から
は、中南米諸国に連続 4 週間以上滞在歴のある方、中南米諸国出身の方、あるいは母親又
は母方の祖母が中南米諸国出身の方を対象に抗体検査を行っており、陰性だった方の献血
血液については、血漿分画製剤の原料に加え、輸血用血液製剤の原料として使用する措置
を実施している。
また昨今の新型コロナウイルス感染症の流行下において新型コロナウイルスに係る安全
対策を実施することが求められている。ワクチン接種後の献血者の採血制限期間について
は、mRNA ワクチンについて接種後 48 時間、ウイルスベクターワクチンについて接種後
6 週間、組換えタンパク質ワクチンについて接種後 24 時間とすることを決定し、それぞ
れ 2021(令和 3)年 5 月、2022 年 4 月、同年 11 月より運用されている。また、新型コ
ロナウイルス既感染者の採血制限期間については、症状消失(無症候の場合は陽性となっ
た献体の検体採取日)から 4 週間とすることを決定し、2021 年 9 月より運用されている。

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令和 5 年版

厚生労働白書