令和5年版厚生労働白書 全体版 (270 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html |
出典情報 | 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》 |
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5 章 若者も高齢者も安心できる年金制度の確立
公的年金制度は、予測することが難しい将来のリスクに対して、社会全体であらかじめ
備えるための制度であり、現役世代の保険料負担により、その時々の高齢世代の年金給付
をまかなう世代間扶養である賦課方式を基本とした仕組みで運営されている。賃金や物価
の変化を年金額に反映させながら、生涯にわたって年金が支給される制度として設計され
ており、必要なときに給付を受けることができる保険として機能している。
直近の公的年金制度の適用状況に関しては、被保険者数は全体で 6,729 万人(2021
(令和 3)年度末)であり、全人口の約半数にあたる。国民年金の被保険者の種別ごとに
見てみると、いわゆるサラリーマンや公務員等である第 2 号被保険者等*1 が 4,535 万人
(2021 年度末)と全体の約 67%を占めており、自営業者や学生等である第 1 号被保険者
が 1,431 万人、第 2 号被保険者の被扶養配偶者である第 3 号被保険者は 763 万人(2021
年度末)となっている。被保険者数の増減について見てみると、第 2 号被保険者等は対前
第
章
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年比 22 万人増で、近年増加傾向にある一方、第 1 号被保険者や第 3 号被保険者はそれぞ
れ対前年比 18 万人、30 万人減で、近年減少傾向にある。これらの要因として、後述する
被用者保険(健康保険・厚生年金保険)の適用拡大や加入促進策の実施、高齢者等の就労
若者も高齢者も安心できる年金制度の確立
促進などが考えられる。
また、公的年金制度の給付の状況としては、全人口の約 3 割にあたる 4,023 万人(2021
年度末)が公的年金の受給権を有している。高齢者世帯に関してみれば、その収入の約 6
割を公的年金等が占めるなど、年金給付が国民の老後生活の基本を支えるものとしての役
割を担っていることがわかる。
公的年金制度については、2004(平成 16)年の年金制度改革により、中長期的に持続
可能な運営を図るための財政フレームワークが導入された。具体的には、基礎年金国庫負
担割合の引上げと積立金の活用により保険料の段階的な引上げ幅を極力抑えた上で、保険
料の上限を固定し、その保険料収入の範囲内で年金給付をまかなうことができるよう、給
付水準について、前年度よりも年金の名目額を下げずに賃金・物価上昇の範囲内で自動的
に調整する仕組み(マクロ経済スライド)が導入された。
保険料の段階的な引上げについては、国民年金の保険料は 2017(平成 29)年 4 月に、
厚生年金(第 1 号厚生年金被保険者)の保険料率は同年 9 月に、それぞれ完了した。これ
により、消費税率の引上げ(5%→ 8%)による財源を充当した基礎年金国庫負担率の 2
分の 1 への引上げとあわせ、収入面では、公的年金制度の財政フレームは完成をみた。一
方、給付面では、マクロ経済スライドについて、前年度よりも年金の名目額を下げないと
いう措置は維持しつつ、未調整分を翌年度以降に繰り越して調整する見直しが 2016(平
成 28)年の制度改正で行われた。
2023(令和 5)年度の保険料水準は、厚生年金保険料率が 18.3%、国民年金保険料が
16,520 円となっている。一方、同年度の給付水準は、厚生年金(夫婦 2 人分の老齢基礎
*2
)が月額 224,482 円、国民年金(1 人分の老齢基礎年金(満
年金を含む「モデル年金額」
*1
*2
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令和 5 年版
国民年金第 2 号被保険者等とは、厚生年金被保険者のことをいう(国民年金第 2 号被保険者のほか、65 歳以上の厚生年金被保険者を含
む。
)
。
厚生年金は、平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9 万円)で 40 年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金
と 2 人分の老齢基礎年金(満額)
)の給付水準である。
厚生労働白書