令和5年版厚生労働白書 全体版 (116 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html |
出典情報 | 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》 |
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の社会資源を通じて、支援が必要な方の情報を早期に把握することが求められる。
ここでは、業務の特性を活かしながら金融機関と社会福祉協議会が連携することで、認
知症の可能性がある高齢者について早期に情報共有をしている取組みを紹介したい。
コラム
第
章
3
地域における金融機関と福祉機関の連携の可能性
(大分県宇佐市成年後見支援センター、公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構)
平均寿命・健康寿命が延び、人生 100 年
時代といわれている。一方で、認知症などで
「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現を目指して
判断能力が低下することにより、適切な財産
管理が難しくなり、当人にとって望ましくな
い財産の使い方がされる問題が懸念されてい
る。
こうした課題について、金融機関と福祉機
関との連携により取り組んでいる具体的事例
条において、金融機関は、「宇佐市内におけ
る業務中において、高齢者や障がいがあると
思われる方の手続きの異変や状態の急な異変
等、財産や生命に危機が生じる恐れがあっ
て、地域社会において見守りや福祉サービス
等が必要と思われる場合に、業務に支障のな
い範囲で」宇佐市に情報提供することとされ
とその調査研究の取組みについて紹介する。
ている。
●大 分県宇佐市成年後見支援センターの
取組み
のような場面で情報提供をすべきか等につい
能力が低下した場合の財産管理に係る対応に
用方法の研修も実施している。また、協定に
大分県宇佐市においても、認知症等で判断
頭を悩ませていた。判断能力が低下した場合
には成年後見制度を利用することもできるが、
その利用が十分に行き渡っているわけではな
く、家族等のインフォーマルな支援に依存し
ているのが現実であった。このため、成年後
見制度の利用促進だけでなく、見守り支援の
強化による対策に重点を置くこととした。
財産管理に関しては、金融機関が当事者の
人生の比較的早い段階からエンディングに至
るまで密接に関連する関係機関であり、利用
者の異変に早い段階で気づくことができる。
金融機関が利用者の異変に気づいた場合、
できるだけ早期に福祉機関につないで、介護
サービスや成年後見制度などを活用する必要
があるが、第三者に個人情報を提供する場合
金融機関からの要望もあり、金融機関がど
て、情報提供に係るチェックシートを作成し、
金融機関の方々に対してチェックシートの活
は情報提供・不提供について金融機関の免責
を明記し、情報を提供する金融機関の方々か
らの協力を得やすくする工夫をしている。
このような検討を経て、2022(令和 4)
年 2 月から協定が発効され、2023(令和 5)
年 3 月までに 7 件の情報提供があった。
主に通帳や印鑑などの頻回の紛失や多額の
出金、不自然な窃盗被害の訴えなどを契機と
して金融機関から情報提供がなされ、その
後、宇佐市、宇佐市成年後見支援センター、
地域包括支援センターと金融機関で連携した
見守り支援の実施につながっている。
●年金シニアプラン総合研究機構の取組み
年金シニアプラン総合研究機構では、年金
に原則本人の同意を必要とする個人情報保護
を含めた資産形成や財産管理の在り方、高齢
法との整理が必要であった。宇佐市では、消
期の医療や介護にかかる費用に関する研究等
費者安全法に基づく消費者安全確保地域協議
を行っている。
会の枠組を活用し、金融機関からの情報提供
高齢社会が本格化し、財産管理の課題が顕
について個人情報保護法との整合性を確保す
在化する中で、地域の金融機関と福祉機関と
ることとした。
の連携が地域住民の安心につながると考え、
次に金融機関が利用者に説明をしやすくす
るため、宇佐市は、市内の全ての金融機関
(7 金融機関)と「地域における見守り支援
102
に関する協定」を締結した。この協定の第 2
令和 5 年版
厚生労働白書
宇佐市の事例をはじめ全国各地の取組につい
て調査研究を進めている。
今後、地域共生の取組みが各地で広がって