令和5年版厚生労働白書 全体版 (322 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html |
出典情報 | 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
安定的で持続可能な医療保険制度の実現
1 医療保険制度改革の推進
我が国は、国民皆保険制度の下で世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準を実現して
きた。一方で、今後を展望すると、いわゆる団塊の世代が 2025(令和 7)年までに全て
75 歳以上となりまた、生産年齢人口の減少が加速するなど、本格的な「少子高齢化・人
口減少時代」を迎える中で、人口動態の変化や経済社会の変容を見据えつつ、全ての世代
が公平に支え合い、持続可能な社会保障制度を構築することが重要である。
こうした状況を踏まえ、給付と負担のバランスを確保しつつ、現役世代の負担上昇の抑
制を図り、増加する医療費を全ての世代が能力に応じて公平に支え合う観点から、
「全世
代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律
案」を、2023(令和 5)年の通常国会に提出し、同年 5 月に法案が成立した。今回の医
療保険制度改革の主な内容は下記(1)から(3)までである。
(1)こども・子育て支援の拡充
1 出産育児一時金に係る後期高齢者医療制度からの支援金の導入
出産に要する経済的負担の軽減を目的とする出産育児一時金については、出産費用が
第
章
7
年々上昇する中で、平均的な標準費用が全て賄えるよう、2023(令和 5)年 4 月より、
42 万円から 50 万円に大幅に増額した。この出産育児一時金に要する費用は、原則として
現役世代の被保険者が自ら支払う保険料で負担することとされているが、後期高齢者医療
国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現
制度の創設前は、高齢者世代も、出産育児一時金を含め、こどもの医療費について負担し
ていた。また、生産年齢人口が急激に減少していく中で、少子化をめぐって、これまで
様々な対策を講じてきたが、未だに少子化の流れを変えるには至っていない状況にある。
このため、今般、子育てを社会全体で支援する観点から、後期高齢者医療制度が出産育児
一時金に要する費用の一部を支援する仕組みを 2024(令和 6)年度から導入することと
している。
併せて、妊婦の方々が、あらかじめ費用やサービスを踏まえて適切に医療機関等を選択
できる環境の整備が重要であることから、2024 年 4 月を目途に、出産費用の「見える化」
を本格実施する予定としている。
また、こうした出産費用の「見える化」の効果等の検証を行った上で、次の段階とし
て、妊婦が自由にサービス内容を選択できる環境を活かしながら、出産(正常分娩)の保
険適用について検討を行っていく。
2 国民健康保険における産前産後期間の保険料免除
子育て世帯の負担軽減、次世代育成支援等の観点から、2024 年 1 月から、出産する被
保険者に係る産前産後期間相当分(4 か月間)の均等割保険料及び所得割保険料を公費に
より免除する措置を新たに講じることとしている。
308
令和 5 年版
厚生労働白書