令和5年版厚生労働白書 全体版 (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html |
出典情報 | 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》 |
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「日本の社会保障制度は、給付費が 130 兆円にのぼり、給付と負担の見直しが求められ
ている」
、「急速な少子高齢化が進み、こども・子育て支援、年金、医療・介護など、制度
改革が必要になっている」。このような解説や報じられ方は多くの国民が日頃から耳にし
ているだろう。
その一方で、高齢世帯の孤立やヤングケアラー、ひきこもり問題など、社会保障に関す
る問題として報じられる個々のエピソードを見たり読んだりしていて、普段私たちが「社
会保障制度」と聞いて思い浮かべる制度をシンプルに利用する程度では解決が難しいので
は? と感じることはないだろうか。
我が国の社会保障制度は、ライフステージの各段階において典型的と考えられる不確実
性に対し、各リスクの「分野別」に制度を創設し運用してきた。これにより国民生活の安
定と安心に大きく寄与してきたことは間違いないが、複合的な要因による課題、分野の境
界線上、あるいは制度の狭間にあるため対応が難しい課題が、年々存在感を増している。
このような制度の狭間の課題、複雑化・複合化した課題は、その中身は異なるものの、
従来から存在するものであった。従来は、地域の紐帯と交流をベースとした助け合いの基
盤が残っており、家族や親戚が近場に住んでいることも多く、それらをベースとしたイン
フォーマルなケアが提供されて対応が行われてきた。公的制度の側も、その根本的な趣旨
を損なわない範囲でケアを補完、代替するなど柔軟に運用することで対応してきた。
しかし、現在は状況が異なる。少子高齢化が進展し、単身世帯の増加や世帯規模の縮小
が進むとともに、地域における交流意識も弱まり、これまでのフォーマル又はインフォー
マルなケアでは対応が難しい、多様化、複雑化した課題が顕在化している。
こうした時代の変化、課題の多様化・複雑化に対応するには、今後どのようなアプロー
チが必要なのかを明らかにするため、
今回の厚生労働白書第 1 部は、
「つながり・支え合いのある地域共生社会」と題し、全
ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる社会の実現に向け
た展望を論じることとした。
「第 1 章
社会保障を取り巻く環境と人々の意識の変化」では、我が国の社会保障とそ
の前提となる社会全般の環境変化と国民の意識の変化を、意識調査の結果を取り混ぜなが
ら分析する。次ぐ「第 2 章
福祉制度の概要と複雑化する課題」では、分野別に発展して
きた高齢者、障害者、児童の福祉制度の沿革と現状に触れた後、制度の狭間の課題や、複
雑化・複合化し分野横断的な対応が求められる課題の現状を、いくつかの具体例を挙げな
がら分析する。そして「第 3 章 「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現を目
指して」では、近年、様々に行われている対応策を紹介しつつ、今後の取組みの方向性を
展望する。折に触れて先駆的現場を取材したコラムも掲載しているので、是非お目通しい
ただきたい。
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