令和5年版厚生労働白書 全体版 (131 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html |
出典情報 | 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》 |
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つながり・支え合いのある地域共生社会
シロハウスでは、サポートする・される関係
しか会わないことが多く、高齢になって死を
が上下関係になることはなく、友達や祖父
迎えるまでの過程が見えない。それでは、
母・孫のようなフラットな関係となって、お
「老後」に対して不安を感じるだけでポジ
互いが良い刺激を受けることができる。
ティブになれないのではないか。そのため、
ホでつながり、例えば、家の棚の高いところ
ころで可視化したい。身体的には衰えていく
にあるものを取ってもらったり、手が不自由
が、気持ちは楽しく過ごす幸せな老後を見れ
なのでリモコンの乾電池を替えてもらった
ば、若者が自分の人生を考える上でも価値の
り、などのちょっとした日常的な助け合いも
ある経験になるのではないか。」と語る。
広がっている。
住人一人ひとり、その背景や考え方も様々
日楽しい。元気をもらっている。忙しい中で
であるので、誰もが満足できる交流の仕組み
も声がけに来てくれて本当にありがたい。料
づくりなど、今後も課題は尽きないとのこと
理を教えてあげたらとても喜ばれた。」、若い
である。試行錯誤しながらも、高齢者と若者
住人は「帰宅時の声がけの時は、仕事で疲れ
が世代を超えてお互い支え合い、成長し、楽
ている自分をいたわってもらっている。いつ
しく過ごすことができる住居づくりの挑戦に
も応援していただき、うれしい。感謝してい
今後も期待したい。
る。こんなに年の離れた友達がいるのが面白
い。ずっと関わっていたい。
」と語る。
高齢者と若者、双方よしの住居づくり
株式会社ノビシロの鮎川代表にお話を伺っ
た。
高齢者は、元気で健康に問題が無くても、
終の棲家として住宅を借りることが難しい現
状があるという。将来の認知症や孤立死のリ
スクがあるためだ。そのため、最期まで自宅
「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現を目指して
高齢の住人は「若い人から刺激を受けて毎
3
章
高齢者として過ごす人生について、身近なと
第
声がけだけにとどまらず、住民同士がスマ
で過ごしたいという高齢者の要望をかなえる
住宅づくりに踏み出したという。
また、若者にとっても、ノビシロハウス
は、異なる世代の方の様々な話を聞くことも
でき、価値のある経験ができる場であると語
る。
「今の若者は、祖父母に、人生の点と点で
▲ノビシロハウスの外観
居住スペースの他、カフェ、コインランドリー、在宅療
養支援診療所、訪問看護事業所がある。
3 デジタルも含め様々な人が交差する「居場所」づくりの推進
(1)
「居場所」づくりの推進
地域では様々な実践が始まっているが、世代や属性を超えて、多様な人が交差する「居
場所」づくりも重要だろう。身近な地域に、課題を抱える方も、そうでない方も含め、気
軽に集まり、安心して通えるような様々な「居場所」があることで、日常の暮らしの中
で、地域住民同士の緩やかな見守りが実践されるとともに、そこに集う人々のつながりを
実感することも出来るだろう。ここでは、具体的な取組事例として、地域の集いの場など
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厚生労働白書
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