よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和5年版厚生労働白書 全体版 (155 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html
出典情報 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

第1部
図表 3-3-8

つながり・支え合いのある地域共生社会

社会的処方の事例

かかりつけ医/かかりつけ診療所に期待される役割と求められる機能:国立市での取組みから(抜粋)
事例1



認知症となり、薬の管理ができなくなる事例

概 要 )70 歳代、男性、脳梗塞、高血圧、一人暮らし
経 過 )
退職後は外出の機会が減り、たばこを吸っている(20 本 / 日)ことが多
かったが、脳梗塞の再発予防のための定期的な通院と内服はできていた。
70 歳代前半から認知機能が低下し、通院ができなくなり、薬の内服ができ
なくなった。自宅で昏睡状態となったところを近隣の友人に発見され、緊急
入院となり、脳梗塞の再発と診断された。

めざす姿の達成に必要な要素
○継続的な受診が必要な市民の、見守りを含めた支援体制

概 要 )80 歳代、男性、心不全、一人暮らし
経 過 )
妻を病院で亡くして以来、病院嫌いとなり、通院をしていない。「全身倦
怠感があり、歩けない」と本人から地域包括支援センターに相談が入り、往
診※を依頼した。往診した医師より、血圧 168/98、顔色不良、心音の異常、
全身にむくみ等があり、心不全と診断された。
2回目の往診時に本人が転倒しており、同行していた地域包括支援センター
の職員と在宅医療相談窓口職員が発見した。心不全の状態がさらに悪化し、
往診医より入院治療の必要があると判断され、緊急入院となった。治療の結
果、退院となる。現在、自宅で在宅医療を受けながら暮らすことができている。

(本事例で達成できていること)
・地域包括支援センターの依頼により、迅速な往診が行われた
(本事例から見える課題)
・かかりつけ医を持ち、日常療養を行う

3

めざす姿の達成に必要な要素
○医療・介護専門職、家族、地域包括支援センター、行政による
本人の状況の適時把握、かかりつけ医との情報共有
○診療所同士の連携

(出典)高齢者の社会的リスクに関する基礎的調査研究事業
(令和元年度老人保健事業推進費等補助金)

めざす姿の達成に必要な要素
○かかりつけ医への受診と、適切な治療・療養の継続
○再発を予防するための、医療・介護専門職、家族、地域包括支援
センター、行政による本人の状況の適時把握及び支援
※往診:本人の要望により、必要に応じて医師が自宅に診察に出向く
こと。なお、「訪問診療」も医師が自宅に診察に出向くこと
を指すが、定期的に訪問する点に違いがある

多様な主体の参画による地域共生社会の実現を目指す取組みは、一人ひとりの多様な参
加の機会の創出や地域社会の持続可能性を高めることにもつながり、福祉の領域だけでな
く、地方創生、まちづくり、地域自治、教育など多様な分野に広がるものである。

2 デジタル、ICT を活用した地域社会への参画

「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現を目指して




迅速な対応により救命できた事例

(本事例で達成できていること)
・家族による服薬管理、サービスの利用等、見守り体制の確立
(本事例から見える課題)
・早期の介護保険サービスの利用
・栄養管理
・体力低下の予防
・地域包括支援センターの対応



事例2

かかりつけ医と訪問診療医の連携により、早期に介護保険サービス
を利用できた事例

概 要 )80 歳代、女性、高血圧、軽度認知症、一人暮らし
経 過 )
夫の他界後、広い自宅で好きな本を読んで過ごし、外出はほとんどな
し。高血圧のための定期的な通院はできていた。別居の家族が毎日薬の管
理を行っていた。夕食は配食サービスを利用。本人は、自身の栄養不足を
心配し、地域包括支援センターに相談していた。徐々に体力が低下し、通
院が困難となった。高血圧の管理をしていた医療機関から訪問診療医に依
頼があり、在宅療養が開始された。また、介護保険を申請し、リハビリ
サービスの利用が開始された。本人の体力が回復し、近所に買い物に行け
るまで回復した。



(本事例から見える課題)
・受診が途切れたときのフォロー体制
・地域での仲間づくり、見守りの目
・認知症の方の支援体制

事例3



(テレワークなどのデジタル技術の活用により、地域の担い手の確保、地域社会の活性化
につながることが期待される)
デジタル技術を活用したテレワークの導入拡大により、場所を問わない就業が可能とな
り、若者が地元に住み続けながら大都市圏の企業に勤務する、大都市圏の人々が現在の仕
事を維持しつつ地方に居住する、地方にもう一つの生活拠点を持つ、といった選択肢も持
ちやすくなる。生活拠点を地方に持つことにより、その地域で活躍する人が増え、定住人
口の拡大や、地域活性化につながることも期待される。
また、どのような地域で働くにせよ、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であ
るテレワークの導入・定着を図ることは重要である。厚生労働省では、労働時間などの適
切な管理の下で、安心して働くことができるテレワークの導入・定着を図るため、テレ
ワークに関する労務管理と ICT(情報通信技術)の双方について、ワンストップで相談
できる窓口を設置し、テレワークを導入しようとしている企業などに対してワンストップ
での総合的な支援などを行っている。

令和 5 年版

厚生労働白書

141