令和5年版厚生労働白書 全体版 (65 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html |
出典情報 | 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》 |
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つながり・支え合いのある地域共生社会
遊び場の喪失、核家族化の進行、共働き世帯の増加等により、家庭の養育機能の弱体化が
指摘されるようになった。
1963(昭和 38)年には児童館の設置費及び運営費に対する国庫補助制度が創設された。
女性の職場進出が更に進んだことや第 2 次ベビーブームの到来を背景に、保育所の大幅な
(1980 年代以降、保育の質の向上や需要の多様化への対応が求められた)
1980(昭和55)年をピークに保育所の入所児童数は減少に転じ、保育所の量的拡大は、一
旦、全国的な課題ではなくなった。他方、女性の就業の増大や就業時間の多様化などによって生
じた多様な保育需要に対応していくための質的充実が課題となった。このため、1981(昭和56)
年から、特別保育対策として延長保育及び夜間保育が国の事業として実施されることになった。
(児童福祉施策は、1990 年の 1.57 ショック以降、少子化対策としての色彩も帯びていく
福祉制度の概要と複雑化する課題
全な育成に資するため、児童手当制度が創設された。
2
章
整備が進められた。さらに、1971(昭和 46)年には家庭における生活の安定と児童の健
第
1960 年代半ば~1970 年代(昭和 40 年代~50 年代前半)には、高度経済成長に伴い既婚
ようになった)
1990(平成 2)年には、前年(1989 年)における合計特殊出生率が 1.57 となったこ
*12
)、少子化の進行を踏まえた総合的な取組みが政府部内
とが公表され(
「1.57 ショック」
で本格的に取り上げられる契機となった。
1994(平成 6)年 12 月には、文部、厚生、労働、建設の 4 大臣合意による「今後の子育
て支援のための施策の基本的方向について」
(エンゼルプラン)が策定され、子育て支援を
企業や地域社会を含め社会全体として取り組むべき課題と位置付けるとともに、将来を見
据え今後おおむね 10 年間を目途として取り組むべき施策について総合的・計画的に推進す
ることとされた。その具体化の一環として、
「当面の緊急保育対策等を推進するための基本
的考え方」
(緊急保育対策 5 か年事業)が決定され、1999(平成 11)年度末の目標として、
低年齢児(0~2 歳児)保育、延長保育、一時的保育、乳幼児健康支援デイサービス事業、
放課後児童クラブなどの充実が掲げられ、保育サービスの多様化が計画的に推進された。
1997(平成 9)年には、児童福祉法の改正が行われ、1998(平成 10)年からは保育所
の利用手続が、市町村の措置(行政処分)から、保育者が希望する保育所を選択する仕組
みに改められた。
(
「次世代育成支援対策推進法」
、
「少子化社会対策基本法」の制定)
2003(平成 15)年には「次世代育成支援対策推進法」
(平成 15 年法律第 120 号)が制
定された。同法では、次代の社会を担うこどもが健やかに生まれ、かつ育成される環境の
整備を図るため、次世代育成支援対策についての基本理念が定められた。同時に地方公共
団体と合わせて事業主(企業)に対して具体的な行動計画の作成が義務付けられた。
また、同年には「少子化社会対策基本法」(平成 15 年法律第 133 号)が成立し、2004
(平成 16)年 12 月に「子ども・子育て応援プラン」が策定された。このように施策を立
* 12 干支のひとつである「丙午(ひのえうま)」という特殊要因があった 1966(昭和 41)年の 1.58 を下回る合計特殊出生率になった
ことの驚きをあらわす言葉である。
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厚生労働白書
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