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令和5年版厚生労働白書 全体版 (151 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html
出典情報 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》
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第1部

「熊本城瓦御守」を産んだモノづくり

つながり・支え合いのある地域共生社会

そのような中、熊本地震のボランティアの

熊本城の売店限定で販売されている「熊本

縁をきっかけに、BRIDGE KUMAMOTO か

城瓦御守」。このお土産品を企画したのが

ら企画を提案され、協働してモノづくりに取

BRIDGE KUMAMOTO である。

り組むこととなった。こうした外部のデザイ
ナーとつながり、アイデア、付加価値のヒン

屋を覆った見渡す限りのブルーシートに着目

トをもらったり、コーディネートしてもらっ

した。廃棄予定のブルーシートを使って何か

たりすることは、福祉事業所としても大変助

支援ができないか、と考えて企画したのが

かるという。



代表の佐藤さんは、熊本地震で被災した家

げられ、事業所の利用者さんからは「ここは

落ちることはない「後来不落」の瓦と記した

私が縫った」「ここの線は私が描いた」とい

「熊本城瓦御守」は、受験生への贈り物とし

う喜びの声があった。世間に注目されるもの

ても喜ばれている。

を製作することで、利用者さんのモチベー

「熊本城瓦御守」を実際に製作しているの

ションや喜びに繋がるのではないかと語る。

が、就労継続支援 B 型事業所のトイロハンド
ワークスである。ブルーシートは、縫製前に
洗浄して縫製するが、縫製での汚れのリスク
から、既存の製造ラインで引き受けてくれる
一般企業がなかなか見つからなかった。
そもそも一般企業からは、大量で効率よ
く、画一的な商品の製造を求められる。しか
し、BRIDGE KUMAMOTO が考えていたお
守りのコンセプトは、
「一つ一つ形も色も
違っていい、オリジナリティなもの」であっ
た。また、一度に大量生産して在庫を抱える
と経費がかさむため、必要な分を管理しなが
ら納品されることを希望していた。

3

「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現を目指して

製作したものが、多くのマスコミに取り上

の瓦の破片を、ブルーシートで包み、二度と



「熊本城瓦御守」だ。地震で崩落した熊本城

こうした条件をクリアしたのが福祉事業所
のモノづくりであった。
「同じ形でなくてい
い。1 個 1 個違っていい。早くたくさんつく
らなくていい。
」これが、お互いがマッチし
たモノづくりだった。
製品を作る過程には、単調ではない様々な
工程があるため、作業のやりがいがあり、障
害者支援の観点からも魅力的な商品であっ
た。まさに両者にとって好都合であった。

モノづくりに大切なもの

BRIDGE KUMAMOTO は、熊本県だけで

トイロハンドワークスの代表の山本さん

なく他県の福祉事業所との協働にも取り組

は、縫製士の肩書も持っており、従来からデ

み、唯一無二の価値ある商品を産んでいる。

ザインやブランディングの大切さは理解して

福祉事業所は、福祉事務所だからできるモノ

いた。しかし、事業所では人員も限られ、新

づくりがある。今後も、多様なネットワーク

たなアイデアやデザイン、付加価値、マーケ

を活用した、価値のあるモノづくりの挑戦が

ティングを考える余裕がなかった。

期待される。

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厚生労働白書

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