よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和5年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求 (291 ページ)

公開元URL https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/collaboration/pdf/r5_zenki_shiori.pdf
出典情報 令和5年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求(6/13)《東京都》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

<現状・課題>
令和2年10月の内閣総理大臣所信表明において「2050年カーボンニュー
トラル(脱炭素社会の実現)」が宣言された。新たに建てられる建築物はその多
くが2050年以降も存在することになるため、建物稼働後にカーボンニュート
ラルを可能とするような性能を新築時に備えることが重要となる。
さらに、ロシア・ウクライナ情勢によりエネルギーを取り巻く環境そのものが
大きく変貌し、我が国のエネルギー安全保障が脅かされている中、海外のエネル
ギー、とりわけ化石燃料への依存から脱却し、エネルギー安全保障の確立と脱炭
素化を進めるためには、電力を「減らす」「創る」「蓄める」施策の社会実装を
早急に前倒して加速させることが必要である。中でも「減らす」取組においては、
「エネルギーの更なる効率的利用」の観点から特に将来に渡り使用される建築物
の脱炭素化に向けた取組が求められる。
国においては、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成27年
法律第53号。以下「建築物省エネ法」という。)に基づき、平成29年4月か
ら一定規模以上の住宅以外の新築建築物におけるエネルギー消費性能基準への適
合義務化を開始した。
これにより、新築建築物の基本的性能としてエネルギー消費性能が位置付けら
れ、建築基準法と連動することから住宅以外の新築建築物のエネルギー消費性能
の向上に向けた底上げ効果が一定程度期待できる。
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律(令和
元年法律第4号)においては、住宅以外の新築建築物のエネルギー消費性能基準
への適合義務化の対象が拡大(2千㎡以上から300㎡以上)された一方、住宅
については、エネルギー消費性能基準への適合率が比較的低い水準にとどまって
いるため、適合義務化により市場の混乱を引き起こすことが懸念されること等か
ら、導入が見送られた。その後、令和3年8月に公表された国の「脱炭素社会に
向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方検討会」のとりまとめ(以下
「あり方検討会とりまとめ」という。)では、2025年度における新築住宅及
び住宅以外の小規模新築建築物のエネルギー消費性能基準への適合義務化等、省
エネ対策強化の方向性が示されている。
さらに、新築建築物のエネルギー消費性能は、建築設備だけでなく外皮性能か
らも大きく影響を受ける。そのため、建築主等が講ずべき措置として、外皮性能
の向上に係る措置を位置付け、新築建築物の外皮性能を把握できるようにすると
ともに、外皮性能の向上が持つ意義や効果について明確な認識を持てるようにす
ることが重要である。また、EUでは既に、エネルギーの性能表示を指令し、多
くの国が制度義務化しており、東京都でも環境性能評価書やマンション環境性能
表示を義務付けている。国においても建築物省エネ法に基づき、新たに住宅用途
も対象に含めた新築建築物の省エネルギー性能の表示制度が位置付けられ、平成
28年4月から適合義務化に先駆けて施行している。しかしながら、この第三者
認証の仕組みも有する表示制度は任意の表示制度となっており、脱炭素化建築物
の普及に向け、こうした表示制度の実効性の担保が必要である。
また、令和12年度までにZEBやZEHを実現していくためには、断熱や日
射遮蔽性能等の建築物及び建築設備の省エネの推進に加え、オンサイト(=需要

- 285 -