よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和6年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求 (414 ページ)

公開元URL https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/collaboration/PDF/r6_zenki.pdf
出典情報 令和6年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求(6/15)《東京都》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

<現状・課題>
児童養護施設等においては、令和2年度から措置費等で、小規模かつ地域分散
化された施設の職員の常時複数配置が可能となったが、実態は、社会的養護の従
事希望者の減少により職員を確保できないなど、人材確保はひっ迫している。さ
らに、小規模かつ地域分散化された施設はスキルや経験を必要とするため、経験
者を配置しなければならないが、経験者の人数も足りない状況である。小規模か
つ地域分散化された施設は孤立した空間となるため、常時複数配置だけでは職員
が感じる孤立感の解消までは至らない。
都は、特に重い情緒面・行動面の問題を抱えた児童に対して心理的ケアに重点
を置き支援を行う専門機能強化型児童養護施設の設置を促進するとともに、医療
が必要な乳幼児については医療体制整備事業で受入体制を整備している。国は、
令和2年3月6日付で「医療的ケア児等のための「4人の生活単位」の設置運営
について」を発出し、医療的ケア児等受入加算実施要綱を示したが、対象となる
児童や職員の配置にかかる経費等が実態に合っておらず、必要な支援に対応でき
るものとなっていない。
また、不規則勤務や、長時間通勤による就業負担及び家賃に係る経済的負担が
大きいとの指摘や、保育士の場合、保育所保育士と比べて処遇に差があるなど、
人材の確保・定着について課題となっている。
乳児院では、夜間においても授乳や呼吸確認などの業務が継続的に必要となる
が、夜勤職員は1人で児童10名以上を養育しているほか、一時保護委託の受入
れも行っている。そのため、夜勤職員の業務は過大で、心理的負担となっている。
児童自立支援施設では、従来の非行・ぐ犯を主訴とする児童に加え、発達障害
など様々な困難を抱える児童が入所しているが、職員配置基準は定員4.5人に対
し1名となっており、被虐待の傷つきへのケアや精神科医療を要する児童の増加な
ど、処遇には高度かつ広範な専門性が求められるが、現在の配置基準は平成24年
度以来変わっておらず児童の支援に十分に対応できるものとなっていない。
自立援助ホームでは、被虐待や発達障害など様々な困難を抱える児童を多く引
き受けている実態があるが、国では自立度の高い児童を想定し、職員配置基準は
定員6名の場合、2.5名となっており、処遇困難な児童の支援に十分に対応で
きるものとなっていない。
国は、ビジョンや要領において、社会的養護の下で育つ子供たちは、「家庭に
おける養育環境と同様の養育環境」である里親等への委託を進め、施設において
も「できる限り良好な家庭的環境」において養育するよう求めているが、この推
進のためには施設や養育家庭等の養育の質の確保と支援の充実が不可欠である。
里親等委託率の向上のためには、ファミリーホームの設置促進も欠かせない。
現在ファミリーホームは障害等の特性のある児童を多く受け入れており、児童の
受託により家屋の改修が必要になることも少なくないが、改修経費の補助は1ホ
ームに付き800万円を上限に1回限りとなっているほか、里親移行型のファミ
リーホームであっても、法人等と同じ基準の財産処分制限がかかることから、活
用しづらいとの声が挙がっている。
また、特性のある児童が里親に委託されるケースも増加している。里親が特別
な配慮を要する児童等を養育する中で、感情的になり怒鳴ったり、子供の前で物
にあたったりするなどの不適切な対応を行ったことで、被措置児童等虐待として
- 408 -