令和6年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求 (496 ページ)
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公開元URL | https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/collaboration/PDF/r6_zenki.pdf |
出典情報 | 令和6年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求(6/15)《東京都》 |
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しかし、少子高齢化の進展や都民意識の変化等から、求められる救急医療が高
度化・多様化しており、救急医療を担う医師の負担は大きなものとなっている。
このような中、現在、医師の働き方や労働法制に関する見直しが行われているが、
医師の確保は救急医療においても大きな課題となっており、人材の確保難や救急
医療の不採算性等による救急医療機関数の減少や救急医療体制の維持に支障を来
すことが危惧される。
また、救急搬送に占める割合が増加している高齢者については、入院期間が長
期化するなどの懸念から医療機関が受入れを躊躇することもある。
都は、平成21年から「救急医療の東京ルール」に基づき地域全体で救急患者
を受け止める搬送体制を開始し、二次医療圏内において搬送先選定困難者の受入
調整に中核的役割を担う東京都地域救急医療センターを89施設指定するととも
に、圏域内で受入れが困難な場合に広域的に受入調整を行う救急患者受入コーデ
ィネーターを令和2年度から増員し、救急患者の迅速な受入体制を確保している。
こうした東京ルールによる運営形態は、平成25年度までは国庫補助対象であ
ったが、平成26年度から国の補助事業の再編に伴い、補助要件や基準額等の変
更が行われたため、補助対象外となっている。
平成28年3月に総務省消防庁及び厚生労働省から発出された国通知では、救
急業務としての転院搬送の際には医療従事者を同乗させることや、緊急性の乏し
い転院搬送については、医療機関が所有するいわゆる病院救急車や消防機関が認
定する患者等搬送事業者等を活用することとしている。しかし、当該保険医療機
関の入院患者を他の保険医療機関に搬送した場合、救急搬送診療料は算定できな
いため、医療機関の実情に応じた運用になっていない。
平成28年度診療報酬改定においては、
「夜間休日救急搬送医学管理料」の評価
が充実されるとともに平日夜間帯も新たに算定可能となったが、救急医療管理加
算については、一部項目が減額された。また、令和2年度改定においてより多く
の患者受入を評価する新たな評価区分が設けられたが、医師の時間外労働規制の
影響等を含めた救急医療の厳しい現状に対して十分なものとは言えない。
救命救急センター運営事業費補助については、救命救急センターの収支が赤字
であっても、病院全体の収支が黒字の場合には補助基準額が2分の1とされ、そ
の不採算性を病院に転嫁する仕組みとなっている。また、新たな充実段階評価が
導入され、24時間重症・重篤な救急患者を受け入れる体制の確保や、積極的な
患者受入れを強く求められている一方で、医師の働き方改革が進む中、病院側は
人員体制の充実等が必要となるが、現行の診療報酬はこうした実情を十分に反映
したものとなっていない。
さらに、都は、東京消防庁のヘリコプターに救急医療用の医療機器等を搭載し、
医師が搭乗する東京型ドクターヘリの運用を行っており、また、令和4年3月か
らドクターヘリの運航を開始している。今後、遠距離運航や夜間飛行が可能な東
京型ドクターヘリと機動力が高いドクターヘリを併用することにより、都の救急
医療体制の機能強化を図ることとしているが、国は都道府県又は都道府県知事等
の要請を受けた基地病院が運航会社との委託契約によりドクターヘリを配備する
場合にドクターヘリ導入促進事業の補助対象としており、東京型ドクターヘリを
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