令和6年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求 (415 ページ)
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公開元URL | https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/collaboration/PDF/r6_zenki.pdf |
出典情報 | 令和6年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求(6/15)《東京都》 |
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養子縁組里親となることができない旨児童福祉法に定められており、その行為の
軽重にかかわらず、里親登録が取り消されることになる。施設職員についてはこ
うした規定はなく、不適切な対応を行った場合でも施設長等に指導を行った上で
児童の委託を継続することができる。里親については、それまでの委託児童との
関係性や委託児童自身の意向にかかわらず直ちに措置変更とせざるを得ず、子供
の最善の利益を損なうおそれがある。
施設における小規模かつ地域分散化の取組について、過渡的に本体施設のユニ
ット化を経て独立させていく場合でもおおむね10年程度での地域分散化及び多
機能化等を図る計画を求めているが、現に大規模な施設等においては10年程度
での地域分散化の促進は困難である。さらに、国は施設の小規模化を進めている
が、既存の建物の解体工事費補助は小規模化後の定員数で算定されるため、小規
模化を進めた結果補助額が減少し、小規模化への取組の妨げとなる状況がある。
施設の小規模化・地域分散化等による本園の取りまとめの業務の増加や、特別
育成費の実費化により事務量が増加している。そのため、直接子供の処遇に当た
る職員が事務業務を一部担っている実態があり、こうした事務処理への対応のた
め、処遇困難な子供の入所が増加傾向にある中で、きめ細かなケアの支障となっ
ている。
新型コロナウイルス感染症の影響で、子供達の学習環境はオンラインやタブレ
ット等を利用したスタイルへ変換している。そのため、児童養護施設等において
はWi-Fi等のネット環境を整備運用しネット社会に対応していかなければな
らないが、措置費事務費はそれに対応したものになっていない。また、国の青少
年のインターネット利用実態調査によれば、中高生のインターネット利用は約9
8パーセントで利用機器はスマホ67パーセント、タブレット36パーセントと、
ほとんどの中高生はスマホもしくはタブレットを所有しているが、措置費事業費
では中高生のインターネット機器の整備や利用料について措置されていない。
国は、平成28年の児童福祉法改正に伴う通知で、乳幼児について、里親等へ
の委託を原則とするとともに、平成30年3月に一部改正された「里親委託ガイ
ドライン」において、心身の発達にとって大切な新生児の時期から里親委託を検
討することが重要であると示している。そのためには、専門性を持つ養育家庭等
の育成や手当の充実及び早期からの里親委託が可能となるような仕組みづくりが
必要である。
また、施設等を退所した後、安定した生活を送るためにも、社会的養護におけ
る自立支援策の強化が求められている。国制度では、措置延長した者に対しては、
自立に向けた様々な支援があるが、18歳で措置解除した者に対して施設が独自
に行う居住費支援等への支援策は十分なものとなっていない。さらに、児童の自
立を支援する自立支援担当職員について、措置費の加算額では、退所者のアフタ
ーケアを十分に行うことが出来ない。
国は児童自立生活援助の年齢による一律の利用制限を弾力化するとのことであ
る。この見直しにより支援する期間が長期化し、児童相談所や施設の業務量が増
えることが懸念される。
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