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参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
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難病・小慢

合同委員会

R6.11.26

参考資料3

1 球脊髄性筋萎縮症
○ 概要
1.概要
通常成人男性に発症する、遺伝性下位運動ニューロン疾患である。四肢の筋力低下及び筋萎縮、球
麻痺を主症状とし、女性化乳房など軽度のアンドロゲン不全症や耐糖能異常、脂質異常症などを合併する。
筋力低下の発症は通常 30~60 歳頃で、経過は緩徐進行性である。国際名称は Spinal and Bulbar
Muscular Atrophy (SBMA)であるが、Kennedy disease とも呼ばれる。
2.原因
X 染色体長腕近位部に位置する、アンドロゲン受容体遺伝子第1エクソン内にある CAG の繰り返しが、
38 以上に異常延長していることが本症の原因である(正常では 36 以下)。CAG の繰り返し数と発症年齢と
の間に逆相関がみられる。男性ホルモンが、神経障害の発症・進展に深く関与していると考えられている。
3.症状
神経症候としては、下位運動ニューロン徴候である顔面、舌及び四肢近位部優位の筋萎縮及び筋力
低下と筋収縮時の著明な筋線維束性収縮が主症状である。四肢腱反射は全般に低下し、上位運動ニュー
ロン徴候はみられない。手指の振戦や筋痙攣が、筋力低下の発症に先行することがある。喉頭痙攣による
短時間の呼吸困難を自覚することもある。深部感覚優位の軽徴な感覚障害が、特に下肢遠位部でみられ
ることもある。進行すると嚥下障害、呼吸機能低下などが見られ、呼吸器感染を繰り返すようになる。睾丸
萎縮、女性化乳房、女性様皮膚変化などの軽度のアンドロゲン不全症候がみられる。血液検査では、CK
が高値を示すことが多く、耐糖能異常、脂質異常症、軽度の肝機能異常、ブルガダ(Brugada)症候群を合
併することがある。
4.治療法
根治治療は確立していない。症状の進行に応じた運動療法とともに LH-RH アゴニストのリュープロレリ
ン酢酸塩は、テストステロンの産生を抑制し、SBMA の進行抑制の効能が承認されている。また、HAL 医療

用下肢タイプは、歩行改善効果が承認されている。 症状の進行に応じた運動療法や、誤嚥予防などの
生活指導を行い、耐糖能異常、脂質異常症などの合併症に対して治療を行う。男性ホルモン抑制療法につ
いて臨床試験が進められている。
5.予後
本症の神経症候は緩徐進行性で、徐々に筋力が低下し、発症 10 年程度で嚥下障害が顕著となり、発
症 15 年程度で車イス生活を余儀なくされることが多い。通常、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症が直接死
因となることが多い。
○ 要件の判定に必要な事項