参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (166 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
高安動脈炎は若い女性に好発し、大動脈及びその主要分枝や肺動脈、冠動脈に炎症性壁肥厚をきた
し、またその結果として狭窄、閉塞または拡張病変を来す原因不明の非特異的大型血管炎である。狭窄ま
たは閉塞を来した動脈の支配臓器に特有の虚血障害、あるいは逆に拡張病変による動脈瘤がその臨床病
態の中心をなす。病変の生じた血管領域により臨床症状が異なるため多彩な臨床症状を呈する。全身の
諸臓器に多彩な病変を合併する。若い女性に好発する。これまで高安動脈炎(大動脈炎症候群)とされて
いたが国際分類に沿って、高安動脈炎とに統一した。また、橈骨動脈の脈拍の消失がよく見られるため、脈
無し病とも呼ばれている。病名は、1908 年に本疾患を発見した金沢大学眼科の高安右人博士の名に由来
する。
2.原因
高安動脈炎の発症の機序は依然として不明であるが、何らかのウイルスなどの感染が本症の引き金
になっている可能性がある。それに引き続いて、自己免疫的な機序により血管炎が進展すると考えられて
いる。また、特定の HLA との関連や疾患感受性遺伝子(SNP)も見つかっており、発症には体質的な因子が
関係として HLA-B*52、HLA-B*67、IL12B、MLX が同定されていると考えられる。
3.症状
男女比は1:8と女性に多い。発症のピークは女性では 20 歳前後であるが、中高年での発症例も稀で
ない。本邦では、大動脈弓及びその分枝血管に障害を引き起こすことが多い。狭窄ないし閉塞を来した動
脈の支配臓器に特有の虚血障害、あるいは逆に拡張病変による動脈瘤がその臨床病態の中心をなす。病
変の生じた血管の支配領域により臨床症状が異なるため多彩な臨床症状を呈する。本症には特異的な診
断マーカーがなく、病初期より微熱又は高熱や全身倦怠感が数週間やから数か月続く。そのため不明熱の
鑑別のなかで本症が診断されることが多い。臨床症状のうち、最も高頻度に認められるのは、上肢乏血症
状である。特に左上肢の脈なし、冷感、血圧低値を認めることが多い。上肢の挙上(洗髪、洗濯物干し)に
困難を訴える女性が多い。頸部痛、上方視での脳虚血症状は本症に特有である。下顎痛から抜歯を受け
ることがある。本症の一部に認められる大動脈弁閉鎖不全症は本症の予後に大きな影響を与える。また、
頻度は少ないが、冠動脈にの狭窄病変を生じることがありにより、狭心症更にまたは急性心筋梗塞を生じ
る場合もある。頸動脈病変による脳梗塞も生じうる。本邦の高安動脈炎は大動脈弓周囲に血管病変を生じ
ることが多い。下肢血管病変は腹部大動脈や総腸骨動脈などの狭窄により生じる。腹部血管病変も稀なら
ず認められ、間欠性跛行などの下肢乏血症状を呈する。腹腔動脈や腸間膜動脈などの狭窄・閉塞による
腹痛などの症状や腎動脈狭窄から難治性高血圧による症状が生じうる。腹部大動脈や総腸骨動脈などの
狭窄により、下肢血管乏血症状を生じうる。また 10%程度に炎症性腸疾患を合併する。下血や腹痛を主訴
とする。小児では成人よりも広範に罹患血管が分布し、腹部大動脈や腎動脈病変が高頻度で認められる。