参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (255 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)は、皮膚や内臓が硬くなる変化(硬化という。)を特徴とし、慢
性に経過する疾患である。しかし、硬化の程度、進行などについては患者によって様々である点に注意が
必要である。この観点から、全身性強皮症を大きく2つに分ける分類が国際的に広く用いられている。つま
り、典型的な症状を示す「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と、比較的軽症型の「限局皮膚硬化型全身性
強皮症」に分けられている。前者は発症より5~6年以内は進行することが多いが、後者の軽症型では進
行はほとんどないか、あるいは緩徐である。なお、「限局性強皮症」は皮膚のみに硬化が起こる全く別の病
気であり、前述の「限局皮膚硬化型全身性強皮症」とは全く異なるものである。
2.原因
全身性強皮症の病因は複雑であり、その病態は十分には解明されていない。しかし、これまでの研究
により①免疫異常、②線維化、③血管障害、これら3つの異常と深い関連性を有することが明らかとなった。
しかし、その相互関係や病因については不明のままである。
3.症状
レイノー症状、皮膚硬化、その他の皮膚症状、肺線維症、強皮症腎クリーゼ、逆流性食道炎などが認め
られ、手指の屈曲拘縮、肺高血圧症、心外膜炎、不整脈、関節痛、筋炎、偽性イレウス、吸収不良、便秘、
下痢、右心不全などが起こることがある。全身性強皮症では抗セントロメア抗体、抗トポイソメラーゼI(Scl70)抗体、抗 U1RNP 抗体、抗 RNA ポリメラーゼ抗体などが検出される。前述した「びまん皮膚硬化型全身
性強皮症」では抗トポイソメラーゼI(Scl-70)抗体や抗 RNA ポリメラーゼ抗体が検出され、一方「限局皮膚
硬化型全身性強皮症」では抗セントロメア抗体が陽性となる。
4.治療法
現在のところ、全身性強皮症を完治させる薬剤はないが、ある程度の効果を期待できる治療法は開発
されつつある。代表例として、(1)ステロイド少量内服(皮膚硬化に対して)、(2)シクロホスファミド(肺線維症
に対して)、(3)プロトンポンプ阻害剤(逆流性食道炎に対して)、(4)プロスタサイクリン(血管病変に対して)、
(5)ACE 阻害剤(強皮症腎クリーゼに対して)、(6)エンドセリン受容体拮抗剤(肺高血圧症に対して)などが
挙げられる。
既に研究班では、内臓各臓器ごとの重症度分類を作成し、その重症度に従って最も適切と考えられる
治療の選択肢を示した全身性強皮症の診療ガイドラインを策定した。
5.予後
全身性強皮症の経過を予測するとき、典型的な症状を示す「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と比較