参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (610 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
大脳皮質における局所的な発生異常(神経細胞の発生、増殖及び遊走の障害)に関連した病巣によ
り、主としててんかん発作を呈する。主に乳幼児~学童期に発症するが、中学生以降あるいは成人でも発
症する。MRI により限局性の皮質を主体とする特徴的な異常所見で検出される一方、MRI 異常を欠き病理
診断で明らかになる場合もある。大脳皮質神経細胞の配列が様々な程度に乱れる。病理組織学的所見の
特徴からタイプ分類がなされる。大脳皮質のどこにでも生じうる。
2.原因
原因は不明であり、ゲノム遺伝子の異常も明らかでない。FCD タイプ 2b の症例の一部に、細胞内情報
伝達系分子 mTOR の体細胞変異が知られている。
3.症状
限局性皮質異形成の存在部位に応じててんかん発作症状は多彩である。乳幼児ではてんかん性脳
症(てんかんが認知機能を進行性に障害する。)を呈することもある。長じては、主として部分てんかんを呈
し、異形成を中心としたてんかん焦点の発作症状を示す。てんかん重積状態を来すこともある。
4.治療法
抗てんかん薬が積極的に用いられるが、難治である。異形成が画像診断で同定でき、臨床所見や脳波
所見と一致する場合には外科治療が行われる。しかし、しばしば異形成の広がりを推定することが困難で
あり、十分な切除が行われないとてんかん発作が消失しない。また、異形成が機能的に重要な脳部位(運
動皮質や言語領域など)を巻き込んでいる場合や、異形成が多発性の場合には、手術は困難である。
5.予後
てんかんが進行性に増悪することは少ないが、年齢とともに発作が軽減することもなく、てんかんは難
治なままである。頻発する発作による社会的な支障は極めて大きい。けいれん重積状態になり重篤な後遺
症を残すこともある。