よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (90 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

20 副腎白質ジストロフィー
○ 概要
1.概要
副腎白質ジストロフィーは、副腎不全と中枢神経系の脱髄を主体とする X 連鎖性形式の遺伝性疾患で
ある。小児大脳型、思春期大脳型、副腎脊髄ニューロパチー(adrenomyeloneuropathy:AMN)、成人大脳型、
小脳・脳幹型、アジソン型、女性発症者などの臨床病型が存在し、各々の臨床経過、予後は異なる。生化
学的特徴としては、中枢神経系だけでなく、ほとんどの組織や血漿、赤血球膜、白血球などにおいて極長
鎖脂肪酸の増加がみられる。
2.原因
病因遺伝子は ABCD1 遺伝子であるが、ABCD1 遺伝子変異と臨床病型の間に明らかな相関関係は認
められず、遺伝子型から発症年齢あるいは AMN か大脳型かなどの臨床病型を予測することはできない。
また、同一遺伝子異常を有していても異なる表現型を呈する例が多く報告されており、ABCD1 遺伝子異常
だけではなく、他に病型を規定する要因(遺伝学的又は環境要因)の存在が想定されている。
3.症状
典型的な小児大脳型は5~10 歳に好発し、視力・聴力障害、学業成績低下、痙性歩行などで発症する
ことが多い。発症後、比較的急速な進行を呈する。
思春期大脳型(11~21 歳発症)は、小児大脳型と同様の症状を呈するが、やや緩徐に進行する。
成人大脳型(22 歳以後の発症)は、認知症や精神症状で発症し、比較的急速に進行する。
AMN は、思春期以降に痙性歩行を主症状に発症し、陰萎、排尿障害等を来し、軽度の感覚障害を伴う
ことがある。AMN の経過中に、半数程度は大脳型に移行するとされている。
小脳・脳幹型は、小脳小脳性運動失調、痙性不全麻痺を主症状とする。
アジソン型は副腎不全が高度の場合、嘔吐、筋力低下、全身倦怠感、体重減少に色素沈着を認める。
発症は2歳以降、成人期まで認められる。また、経過中に神経症状が明らかになる例もあり、注意を要する。
ALD 男性患者全体で約 80%に副腎不全を呈するとされ、その中には副腎機能検査にて軽度な副腎不
全を示す例も少なくない。
女性保因者でも一部では加齢とともに AMN 様症状を来すことがある(女性発症者)。
4.治療法
近年、小児大脳型において発症後早期の造血幹細胞移植により、症状の進行の停止が報告されてお
り、治療法として期待される。また思春期及び成人大脳型に対しても発症早期における有効性と安全性が
報告されている。一方、進行期での移植例では十分な効果が得られないことが多い。また、造血幹細胞移
植に関連する合併症(GVHD など)による重篤例もあり、適応については十分な検討が必要である。早期の
診断と早期の造血幹細胞移植が予後において極めて重要である。
Lorenzo's oil(オレイン酸:エルカ酸=4:1)は、血中の極長鎖脂肪酸(VLCFA)(特に飽和脂肪酸)はを