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参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (845 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
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じる状態)は少なくチアノーゼも目立たない。しかし、狭窄が強度だと右左短絡が顕著で肺血流そのものも少な
いためにチアノーゼは強くなる。心臓カテーテル・造影所見では、収縮期右室圧は、左室・大動脈圧と等しい。肺
動脈圧は正常もしくはやや低圧である。
心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症では、出生直後よりチアノーゼが見られる。動脈管が閉鎖すると致死的と
なる。

4.治療法
肺動脈が低形成で外科的治療ができない場合には姑息的な内科的治療(鉄剤投与、酸素投与など)の
みとなる。新生児期、乳児期にチアノーゼが重度の状態や、肺動脈血流が動脈管に依存しているプロスタ
グランジン E1 使用例ではブラロック-タウジッヒ(Blalock-Taussing:BT)短絡術をおこなう。また、低酸素血
症の改善目的で、右室流出路形成術と心室中隔閉鎖術を行う。右室流出路形成術やラステリ手術を行う
こともある。ラステリ手術など心内修復術が施行された例では、成人期以降になると、右室不全、左室不全
が進行することが多い。
ファロー四徴症では、右室流出路及び肺動脈狭窄の程度が肺血流量を規定し、末梢肺動脈と左心室容積の
発達に影響する。したがって、肺動脈狭窄が高度な症例では、適切な時期(新生児期から乳児期前半)に BT シ
ャント手術を行い、肺血流量を増やしてチアノーゼを改善させるとともに、左心室容積を十分に発達させ、1 歳前
後に行われる心内修復術に備える。鉄剤や輸血による貧血の改善、十分な水分補給による脱水の予防も重要
である。
心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症では、肺血流は動脈管に依存する。出生直後からプロスタグランディン E1
製剤の持続点滴により動脈管を開存させ、その後、乳児期後期に BT シャント手術を実施する。本疾患は動脈
管依存性の心疾患であるため、酸素を投与すると動脈管が閉鎖するので、酸素投与は行わない。
ファロー四徴症も心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症も、末梢肺動脈及び左心室が十分に発達する 1 歳前後
に、心室中隔欠損孔閉鎖及び右室流出路拡大術(もしくはラステリ手術)を行う。多くの MAPCA が発達した心室
中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症では、乳児期中後期に MAPCA を束ねて主肺動脈もしくは人工血管を介して右室
流出路に吻合する肺動脈統合術(unifocalization 手術)が行われる。約 1 年後に肺血流分布が改善したら、心室
中隔欠損閉鎖術を行う。最重症例では MAPCA 自体も低形成であり、肺動脈統合術の適応がない場合もある。

5.予後
外科治療未施行の場合は、1年生存率が 75%、3年生存率が 60%、10 年生存率が 30%と言われる。成
人期以降も死亡が増加し、死亡原因としては低酸素血症、脳梗塞、脳膿瘍、心不全、腎不全などである。
ラステリ手術の成人期以降には、肺動脈弁閉鎖不全や右心機能不全で、再手術が必要になったり、心不
全になったりする可能性がある。
ファロー四徴症典型例での外科的治療後の生命予後は改善し、現在では術後 30 年の生存率は 98%と報告
されている。しかしながら、右室流出路拡大術後やラステリ手術後の遠隔期、特に成人期では、術後遺残症とし
ての肺動脈弁狭窄及び閉鎖不全による右室拡大、右室機能不全、二次的な三尖弁閉鎖不全、心室及び心房