参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (495 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
○ 概要
1.概要
消化管を主座とする好酸球性炎症症候群(Eosinophilic Gastro-Intestinal Disorder:EGID)は、新生児~
乳児における食物蛋白誘発胃腸炎 (ここでは日本における Food-Protein Induced Enterocolitis Syndrome
という意味で N-FPIES と呼ぶ。)、幼児~成人における好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性胃腸炎(EGE)の
総称である。特に新生児期~乳児期の患者は、1990 年台末から急激に増加していると考えられている。ま
た、EGE は本邦に特に患者が多い。診断法、治療法が確立していないことから、多くの患者が苦しんでいる。
新生児~乳児における食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)では 10%の患者は、生命にかかわる重大な合
併症を引き起こすため、緊急の治療が必要となる。治療困難症例の場合、症状は一生続く。
幼児~成人における好酸球性食道炎(EoE)では、嚥下障害のために日常生活が障害されるとともに、長
期経過例では、食道狭窄を起こし観血的な治療が必要となる。
幼児~成人における好酸球性胃腸炎(EGE)は胃-大腸に至る重要な臓器が障害されるが、欧米では症
例数が少ないこともあり、診断治療研究が進んでいない。多くの患者を抱える我が国で研究を進歩させる
必要がある。60%程度の例で再発を繰り返し、慢性化してステロイド依存性となるなどして薬剤治療にとも
なう様々な副作用が問題となる。日本では好酸球性胃腸炎(EGE)は、以前から症例報告が多いが、好酸
球性食道炎(EoE)は少ない。逆に欧米では好酸球性食道炎(EoE)が多く、EGE は少ない。世界的に EGE
の診断治療法に関する研究は遅れている。
2.原因
免疫反応の異常により、消化管で炎症が起きることが原因である。この免疫学的異常についての詳細
は明らかになっていないが、消化管において好酸球の著明な浸潤が見られることが特徴である。
3.症状
新生児~乳児における食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)は、主に反復する嘔吐、下痢、血便、体重増
加不良が見られ、10%の重症者は腸閉塞、腸破裂、低蛋白血症、発達遅滞、ショック(循環不全)などを合
併する。
幼児~成人における好酸球性食道炎(EoE)は、食道のみに炎症が見られ、食物が飲み込みにくい、つ
かえ感などを生じる。
好酸球性胃腸炎(EGE)は、全消化管に炎症が及ぶ可能性があるが、食欲不振、嘔吐、腹痛、下痢、血
便、体重減少、腹水などが見られる。また、重症者では、消化管閉塞、腸破裂、腹膜炎を起こすことがある。
4.治療法
新生児~乳児における食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)は、炎症の引き金となっている食物を同定でき
た場合は、これを除去することで改善することが多い。しかし、この同定は困難な場合も多く、これが不可能
な場合、炎症は持続する。