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参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (1115 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
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299 嚢胞性線維症
○ 概要
1.概要
嚢胞性線維症(膵囊胞線維症膵嚢胞線維症 cystic fibrosis:CF、システィック・ファイブローシス)は、
cystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)を原因分子とする全身性の疾患である。気道
内液、腸管内液、膵液など全身の分泌液/粘液が著しく粘稠となり、管腔が閉塞し感染し易くなる。典型的
な症例では、胎便性イレウスを起こし、膵臓が萎縮して膵外分泌不全による消化吸収不良を来たし、呼吸
器感染を繰り返して呼吸不全となる。汗中の塩化物イオン濃度の高値は特徴的な所見であり、診断に用い
られる。
2.原因

CFTR 遺伝子の変異を原因とする。CFTR タンパクは全身の管腔臓器の主要な陰イオンチャネルであ
る。CF では、CFTR の機能低下により、気道、腸管、膵管、胆管、汗管、輸精管の上皮膜/粘膜を介するク
ロライド(塩化物イオン)と水の輸送が障害される。そのため、管腔内の粘液/分泌液が過度に粘稠となり、
管腔が閉塞し感染し易くなり、多臓器の障害を来す。これまでに報告された遺伝子変異は 1,9002,000 種類
を超え、人種や国により多様である。同じ遺伝子変異を持つ患者でも、障害される臓器及び重症度が異な
り、病態形成の機序には不明な部分が多い。
3.症状
1)典型的な症例では、生直後にしばしば胎便性イレウスを起こす。その後、膵外分泌不全による消化吸収
不良を来たし、気道感染症を繰り返して呼吸不全となる。汗腺の塩化物イオンの再吸収が障害されるた
め、汗の塩分濃度が高くなる。障害される臓器と重症度は様々であるが、単一臓器のみが障害される患
者もいる。
2)胎便性イレウスは、国内の CF 患者の 40~50%に見られる。粘稠度の高い粘液のために胎便の排泄が
妨げられ、回腸末端部で通過障害が生じる。
3)呼吸器症状は、ほぼ全例の CF 患者に見られる。出生後、細気管支に粘稠度の高い粘液が貯留し、病
原細菌が定着すると細気管支炎や気管支炎を繰り返し、呼吸不全となる。膿性痰の喀出、咳嗽、呼吸困
難を来す。ムコイド型緑膿菌の持続感染が特徴である。
4)膵外分泌不全は、CF 患者の 80~85%に見られる。タンパク濃度の高い酸性の分泌液で小膵管が閉塞
し、次第に膵実質が脱落する。変化は胎内で始まり、典型的な症例では2歳頃に膵外分泌不全の状態
になり、脂肪便、栄養不良、低体重を来す。画像所見は、膵の萎縮あるいは脂肪置換を呈することが多
い。
5)胆汁うっ滞型肝硬変が、国内の CF 患者の 20~25%に見られる。
4.治療法
1)現在のところ根本的な治療法は無く、呼吸器感染症と栄養状態のコントロールが中心となる。生涯治療