参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (1138 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
両側の多発性鼻茸と粘調な鼻汁により、高度の鼻閉と嗅覚障害を示す、成人発症の難治性副鼻腔炎で
ある。抗菌薬は無効であり、ステロイドの内服にのみ反応する。鼻腔内に鼻茸が充満しているため、鼻副鼻
腔手術で鼻茸の摘出を行うが、すぐに再発する。鼻閉と嗅上皮の障害により嗅覚は消失する。嗅覚障害の
ため風味障害を含めた味覚障害を来す。気管支喘息、アスピリン喘息(NSAID-exacerbated respiratory
disease (N-ERD: アスピリン不耐症)、NSAID 不耐症)を伴うことが多い。鼻閉のための口呼吸が喘息発作を
誘発し、著しい呼吸障害を起こす。また中耳炎を伴うこともあり、好酸球性中耳炎と命名されている。この中
耳炎は、難治性で聴力障害は進行し、時に聾に至る。鼻粘膜には多数の好酸球浸潤を認めるが、中耳炎
を伴うと耳漏にも多数の好酸球浸潤が認められる。経口ステロイドは、本疾患が良性疾患のため、主治医
は継続使用にためらいを感じ、数か月で投与を中止すると増悪をする。上気道感染によっても症状が増悪
するため再度経口ステロイドを投与せざるを得ない状況となる。
2.原因
原因は不明。鼻茸は Type 2 炎症が主体であるともに、凝固系が亢進し線溶系が抑制されており、フィブ
リン沈着が認められる。
3.症状
多発性鼻茸と粘調な鼻汁による高度の鼻閉と口呼吸。鼻閉と嗅上皮の障害による進行する嗅覚障害が
生じ、最終的には嗅覚は消失する。味覚障害も起こす。成人発症であり、病側は両側である。気管支喘息
を合併することが多く、口呼吸により誘発される喘息発作を起こすと、ひどい呼吸困難に陥る。粘調な耳漏
や難聴を呈する難治性中耳炎を伴うこともあり、進行すると聾に至る。
4.治療法
経口ステロイドが唯一有効。手術により鼻腔に充満した鼻茸を摘出すると、鼻閉は一時的に改善するが、
すぐに再発し、鼻腔を充満する。鼻茸スコア 5 以上の場合には、ヒト型抗ヒト IL-4/13 受容体モノクロナール
抗体が有効であり、保険適応がある。
5.予後
軽症から重症を含めて、内視鏡下鼻内副鼻腔手術を行った場合、術後6年間で 50%の症例が再発する。
特にアスピリン喘息に伴う好酸球性副鼻腔炎では術後4年以内に、全例再発する。
経口ステロイドの内服で軽快をみても、感染、体調変化などにより増悪し、これを生涯繰り返す。ヒト型
抗ヒト IL-4/13 受容体モノクロナール抗体も投与を止めると鼻茸は再度増大する。
好酸球性副鼻腔炎には、重症度が存在する。軽症では、手術で改善することもあるが、重症では、極めて
難治性である。