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参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (126 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
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28 全身性アミロイドーシス
○ 概要

○ 概要
1.概要
全身性アミロイドーシス(amyloidosis)は、線維構造をもつ蛋白質であるアミロイドが、全身臓器に沈着
することによって機能障害を引き起こす一連の疾患群である。
アミロイドは、病理学的にアルカリコンゴ赤コンゴーレッド染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡下で緑色
アップルグリーン色の複屈折を示すものである。蛋白質が立体構造(コンフォメーション)を変化させてアミロ
イドとして凝集し疾患を引き起こすことから、コンフォメーション病の1つとして捉えられている。
2.原因
これまでに31 36 種類のアミロイドーシスが報告されており、それぞれにおけるアミロイドの形成、沈着
機序に違いがあるものの、全てに共通すると考えられているアミロイド線維形成機序は、まずアミロイド原因
(前駆体)蛋白質が産生され、次にそれがプロセッシングを受け、重合、凝集してアミロイド線維となるというも
のである。
3.症状
アミロイドーシスの症状は、アミロイドの沈着による臓器・組織の障害に基づくもので、病型ごとに異なる臨
床症状を示す。全身性アミロイドーシスで特に注目すべき症状は全身衰弱、貧血、心アミロイド沈着による心症
状、消化器障害、腎症状(ネフローゼなど)、末梢神経障害(手足のしびれや麻痺)などである。
認知症の原因の過半数は脳にアミロイド沈着(老人斑)を起こすアルツハイマー病であること、また、高
齢者では脳血管壁へのアミロイド沈着(アミロイドアンギオパチー)により、脳葉型の脳出血や皮質、皮質下
に微小出血を引き起こすことも知っておくべき重要な知識である。
4.治療法
これまで対症療法が主体であったが、近年病気を治す療法が可能になりつつある。原発性全身性免疫
グロブリン軽鎖(AL)アミロイドーシスに対しては、自己末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法あるい
はボルテゾミブ、ダラツムマブなどの単独治療、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー
(Familial Amyloid Polyneuropathy:FAP)では肝移植が行われて骨髄形質細胞を標的とした化学療法の有
効性が示されている。また、本症で遺伝性トランスサイレチン(ATTRv)アミロイドーシスに対しては抗炎症薬
ジフルニサルを用いた治療を加えて、、肝移植に加え、トランスサイレチン(TTR)四量体安定化薬であるタ
ファミジスと核酸医薬(siRNA 製剤)であるパチシランの有効性がニューロパチーの進行を遅延させることが
明らかに証明され、本邦でも保険収載されている。タファミジスに関しては全身性野生型トランスサイレチン
(ATTRwt)アミロイドーシスの心症状に対する有効性も証明され、適応追加となっている。透析アミロイドー
シスの予防として透析膜が改良され効果を挙げている。全身性アミロイド A(AA)アミロイドーシスでは抗リ
ウマチ作用を示す様々な生物製剤に加えて、抗 IL-6 受容体抗体を用いた治療が有効であることが明らか
になってきている。また、アルツハイマー病ではコリンエステラーゼ阻害薬である塩酸ドネペジルが用いられ、