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参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (937 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
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241 高チロシン血症1型
242 高チロシン血症2型
243 高チロシン血症3型
○ 概要
1. 概要
チロシンはチロシンアミノ基転移酵素によって 4-ヒドロキシフェニルピルビン酸、続いて 4-ヒドロキシフェニ
ルピルビン酸酸化酵素によってホモゲンチジン酸、ホモゲンチジン酸酸化酵素によってマレイルアセト酢酸、
マレイルアセト酢酸イソメラーゼによってフマリルアセト酢酸、フマリルアセト酢酸分解酵素によってフマル酸
とアセト酢酸に分解される。高チロシン血症には種々の原因があり、1型、2型、3型の3つの病型に分類され
ている。これらの疾患は、遺伝的・酵素学的に別の疾患であり、臨床症状出現の機序も異なる。遺伝形式は
いずれも常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)である。高チロシン血症1型はフマリルアセト酢酸ヒドラーゼ(FAH)
が欠損することで発症する。低血糖、アミノ酸やその他の代謝障害、凝固因子の低下、若年性肝臓癌、肝不
全が進行する。近位尿細管においても細胞障害が出現し、アミノ酸尿、糖尿、代謝性アシドーシスなどのファ
ンコーニ(Fanconi)症候群が発症する。
高チロシン血症2型は細胞質チロシンアミノ基転移酵素(TAT)の欠損症、高チロシン血症3型は 4-ヒドロ
キシフェニルピルビン酸酸化酵素(HPD)が欠損している。世界における頻度は1型で 10 万~12 万人に1人
と推定されている。わが国における1型の頻度はさらに低いと考えられている。2型もまれな疾患であり、わ
が国で確定診断された症例として4例がこれまでに 10 例ほど報告されている。また、3型もまれな疾患であ
るが、無症状で経過することもあるため、診断されていない症例が存在すると考えられる。
2. 原因
常染色体劣性の遺伝形式をとり、15 番染色体長腕(15q23-q25)上に原因遺伝子である FAH が存在す
る。世界における頻度は 10 万~12 万人に1人と推定されている。わが国における頻度はさらに低いと考え
られている。フマリルアセト酢酸ヒドラーゼが欠損することによって細胞内に蓄積するフマリルアセト酢酸の
毒性のために種々の病態が生じる。肝細胞では遺伝子発現の異常、酵素活性の阻害、アポトーシス、染色
体の不安定及び癌化が生じている。
3. 症状
高チロシン血症 1 型、2 型、3 型は、それぞれ常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)の遺伝形式をとり、15
番染色体長腕(15q23-q25)上の FAH、16 番染色体長腕(16q22.1-q22.3)上の TAT、12 番染色体長腕
(12q24-qter)上の HPD がそれぞれ原因遺伝子である。世界における高チロシン血症 1 型の頻度は、10 万
~12 万人に1人と推定されている。チロシンは、最終的に細胞質でフマル酸、アセト酢酸に分解される。高チ
ロシン血症 I 型はチロシンの代謝経路の最終酵素であるフマリルアセト酢酸加水分解酵素 (FAH: EC
3.7.1.2)が欠損することで発症する。代謝が阻害されることにより毒性のある中間代謝産物であるフマリルア
セト酢酸やその分解産物であるサクシニルアセトンの体内濃度が上昇し、肝障害、腎尿細管障害などを引き
起こす。また、サクシニルアセトンがポルフォビリノーゲン合成酵素の活性を阻害し、ポルフィリン症に類似し
た症状を呈することもある。高チロシン血症 1 型の 80%は肝不全の徴候が生後数週から数ヶ月で生じ、その