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参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (1020 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
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268 中條・西村症候群
○ 概要
1.概要
慢性反復性の炎症と進行性のやせ・消耗を特徴とする、特異な遺伝性自己炎症疾患であり、常染色体
潜性遺伝(劣性遺伝性遺伝)性の疾病である。1939 年の中條、1950 年の西村らの報告以来、「凍瘡を合併
する骨骨膜症」などの病名で、和歌山・泉南を中心とした関西と関東・東北から、これまでに 30 例ほどの報
告がある。
幼小児期に凍瘡様皮疹にて発症し、結節性紅斑様皮疹や周期性発熱を繰り返しながら、次第に長く節
くれ立った指、顔面と上肢を主体とする部分的脂肪筋肉萎縮が進行する。
本邦特有とされたが、2010 年に本疾患と臨床的に酷似する症例が JMP 症候群・CANDLE 症候群とい
う病名で欧米・中東から報告された。3疾患とも、プロテアソーム複合体の誘導型サブユニットをコードする

PSMB8 遺伝子に変異のあることが報告され、これを原因とする同一疾患と考えられている。これらをまとめ
るプロテアソーム関連自己炎症性症候群(PRAAS、Proteasome-associated autoinflammatory syndrome)と
いう病名も提唱され、中條・西村症候群は特に、日本人に特有で共通な PSMB8 p.G201V 変異を持つ症例
に用いられている。一方、CANDLE 症候群では PSMB8 以外の変異を持つ症例も報告されている。
2.原因

PSMB8 などのプロテアソーム関連遺伝子の変異により、細胞内で蛋白質分解を行うプロテアソーム複
合体の機能が低下することによって発症すると考えられるが、詳しいメカニズムは不明である。
3.症状
幼小児期に手足の凍瘡様皮疹にて発症し、その後結節性紅斑様皮疹が全身に出没したり、発熱や筋
炎症状を繰り返すようになる。低身長など発育障害を呈する症例もある。早期より大脳基底核の石灰化を
伴うが、精神発達障害ははっきりしない。次第に特徴的な長く節くれ立った指と、顔面と上肢を主体とする
部分的脂肪筋肉萎縮、やせが進行し、手指や肘関節の屈曲拘縮を来す場合がある。血清 LDH、CPK、
CRP や AA アミロイド値が高く、抗核抗体が陽性になることがある。一方、ステロイド内服により逆に腹部や
下半身の肥満を来す場合もある。脂質代謝異常ははっきりしないが、恐らく呼吸障害や心機能低下のため
に早世する症例がある。
4.治療法
標準的治療法はない。ステロイド内服が行われ、発熱、皮疹などの炎症の軽減には有効だが、脂肪筋
肉の萎縮ややせには無効である。むしろステロイドの長期内服による成長障害、代償性肥満、緑内障、骨
粗鬆症など弊害も多い。最近、JAK 阻害薬の有効性が報告されている。
5.予後
一部の軽症例を除くと、繰り返す発熱・筋炎、発育障害、進行性の脂肪筋肉萎縮・関節拘縮などにより