参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (746 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
○ 概要
1.概要
低ホスファターゼ症は、骨レントゲン検査で骨の低石灰化、くる病様変化がみられ、血液検査で、骨
変形などを認め、血清アルカリフォスファターゼアルカリホスファターゼ(ALP)値が低下するのが低下を
特徴とする骨系統疾患である。乳歯早期脱落などの歯科症状やけいれんを認める場合もある。ALP の活
性低下にともない蓄積する石灰化阻害物質であるピロリン酸が石灰化を障害することや蓄積し、局所の
リン濃度のが低下することにより、骨の低石灰化、くる病様変化石灰化障害が引き起こされる。ALP の基
質である phosphoethanolamine, inorganic pyrophosphate(ホスホエタノールアミン、ピロリン酸), pyridoxal
5'-phosphate、ピリドキサール 5’-リン酸の上昇がみられる。通常、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝性であ
るが、稀遺伝)性を示す場合が多いが、軽症例の中には常染色体顕性遺伝(優性遺伝性遺伝)性を示す
家系もある存在する。
2.原因
組織非特異的非特異型アルカリホスファターゼ(ALP)の欠損によるとされている。
3.症状
骨のくる病様変化、低石灰化、骨変形、四肢短縮、頭囲の相対的拡大、狭胸郭、けいれん、高カルシ
ウム血症、多尿、腎尿路結石、体重増加不良、頭蓋縫合の早期癒合、乳歯の早期喪失、病的骨折、骨
痛等を認める。
4.治療法
確立された根本的生命予後不良な治療法はなかった重症例に対してアルカリホスファターゼ酵素補
充薬の投与が、ALP 行われる。軽症例に対する酵素補充療法の有効性は確立していないが開発されつ
つ、骨症状や筋力低下など本疾患に基づく症状が存在する場合には改善が期待できる。歯科的管理や
合併症に対する外科的治療が必要になる場合もある。重症型重症例における痙攣けいれんはビタミン B6
依存性である可能性が高いので、まず B6 の投与を試みる。乳児型ではしばしば高カルシウム血症がみ
られを認め、これに対し、低カルシウムミルクをの使用などのカルシウム摂取制限が行われるが、骨症状
を悪化させる可能性があるため、酵素補充療法を併用する。
5.予後
予後は病型により異なる。酵素補充療法が行われなければ周産期ないし乳児期重症型はほぼ全例、
乳児型は約半数が早期に発症して 50%以下死亡する。成人型などの生存率である重症軽症型の病型
から、成人において骨折リスクが高まる、生命予後は良好な軽症な病型まで幅があるであるが、身体機
能や生活の質に影響する合併症は起こりえる。