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参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (328 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
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4.治療法
特発性の温式 AIHA の治療では、副腎皮質ステロイド薬、摘脾術、免疫抑制薬が三本柱であり、そのう
ち副腎皮質ステロイド薬が第1選択である。成人例の多くは慢性経過をとるので、はじめは数か月以上の
時間枠を設定して治療を開始する。その後の経過によって年単位ないし無期限へ修正する必要も生じる。
2/3次選択の摘脾術や免疫抑制薬は、副腎皮質ステロイド薬の不利を補う目的で採用するのが原則であ
る。恐らく特発性の 80~90%はステロイド薬単独で管理が可能と考えられる。CAD 及び PCH の根本治療
法はなく、保温が最も基本的である。温式・冷式共に抗体療法(rituximab)の有用性が報告されている。
5.予後
IHAAIHA は臨床経過から急性と慢性に分けられ、急性は6か月までに消退するが、慢性は年単位又は
無期限の経過をとる。小児の急激発症例は急性が多い。温式 AIHA で基礎疾患のない特発例では治療に
より 1.5 年までに 40%の症例でクームス(Coombs)試験の陰性化がみられる。特発性 AIHA の生命予後は、
5年で約 80%、10 年で約 70%の生存率であるが、高齢者では予後不良である。感染後続発性 CAD は感
染後2~3週の経過で消退し再燃しない。リンパ増殖性疾患に続発するものは基礎疾患によって予後は異
なるが、この場合でも溶血が管理の中心となることは少ない。小児の感染後性の PCH は発症から数日な
いし数週で消退する。強い溶血による障害や腎不全を克服すれば一般に予後は良好であり、慢性化や再
燃をみることはない。
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数(研究班による。溶血性貧血の有病者全体の推計数令和元年度の医療受給者証保持者数)
約 2,6001,013 人
2.発病の機構
不明(自己免疫学的な機序が示唆される。)
3.効果的な治療方法
未確立(根本的治療法なし。)
4.長期の療養
必要(無期限の経過をとる場合あり。)
5.診断基準
あり(研究班作成の診断基準あり。)
6.重症度分類
研究班作成の自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の重症度分類において、Stage3以上を医療費助成の
対象とする。ただし、薬物療法を行っていてヘモグロビン濃度 10g/dL 以上の者は対象外とする。
○ 情報提供元
「特発性造血障害に関する調査研究班」
研究代表者 東京大学医学部附属病院獨協医科大学 血液・腫瘍内科 教授 黒川峰夫三谷 絹子