参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (872 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
膜性増殖性糸球体腎炎は、光学顕微鏡所見で糸球体係蹄壁の肥厚(基底膜二重化)と分葉状の細胞増
殖病変といった特徴的な組織病理像を呈する糸球体腎炎である。その形態より I 型、II 型(現在のデンスデ
ポジット病)、III 型に分類される。臨床的には、無症候性から急性腎炎、慢性腎炎あるいはネフローゼ症候群
で発症し、明らかな原因疾患がない一次性と種々の免疫複合体疾患や感染症に続発する二次性に分類さ
れる。一次性は、8~30 歳代の若年層を主とし、それ以降は、二次性が主である。また、遺伝的要因による
補体経路の調節異常によって類似病変を生じる。
2.原因
糸球体係蹄において、何らかの原因によって補体系が過剰に活性化された炎症性疾患である。I 型及び III
型では、免疫グロブリン沈着に加えて補体活性化を示す C3 の沈着が見られ免疫複合体が主要因である。ま
た、I 型では C3 転換酵素に対する自己抗体(C3 nephritic factor:C3NeF)により、持続する補体系第2経路
の活性化を伴う場合がある。C3NeF は、本疾患の原因物質として注目されたが、病態との関係については不
明な点も多い。なお、60%以上に C3NeF が陽性となる II 型(デンスデポジット病:DDD)は、糸球体基底膜内
にリボン状の高電子密度沈着物を認め、病理組織学的な類似点から本症に含まれたが、病因論的には他
のタイプとは異なっており、WHO 分類(1995 年)において独立した疾患として記載され、一次性からは除外さ
れた。認める。最近、補体制御因子である H 因子や I 因子等の遺伝的欠損、その他因子の遺伝子異常、補
体成分に対する後天的な自己抗体を含めた要因により、補体経路特に第2経路の調節異常により類似の病
理学的変化を生じることが判明した。また、補体 C3 沈着様式から補体成分に対する後天的な自己抗体を含
めた要因、遺伝的要因による補体経路の異常によって惹起されたされる腎組織障害として「C3 腎症」という
新たな概念もある。I 型・III 型の中で C3 沈着が優位で免疫グロブリンの沈着を伴わないものを C3 腎炎(C3
glomerulonephritis)と呼称し,従来の II 型(DDD)と C3 腎炎を合わせ C3 腎症と総称され、一次性に含有され
る。
3.症状
発症様式は、検尿で発見される無症候性血尿・蛋白尿(約 30%)からネフローゼ症候群あるいは急性腎炎
様の急性発症(20~30%)まで多彩であるが、初診時の約半数がネフローゼ症候群を呈し、残りの症例も経
過中に中等度(A3)以上の蛋白尿を示す。また、10~20%に肉眼的血尿を見る。検査において、補体(CH50,
C3)の低下が特徴的であり、I 型の約 70%に認められる。特に急性腎炎様発症例が8週以上の持続的低補
体血症を呈した場合に本症を強く疑わせる。
4.治療法
根拠となる十分な臨床試験成績はない。小児を対象とした比較的小規模の非無作為試験では、I 型にお
いて経口ステロイド(プレドニン 2mg/kg/隔日から開始し、20mg/隔日を維持量)あるいは、ステロイドパルス