参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (1015 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
脂肪萎縮症は全身性あるいは部分性に脂肪組織が消失する疾患で、脂肪組織の消失とともに重度の
インスリン抵抗性糖尿病や高中性脂肪血症、非アルコール性脂肪肝炎など様々な代謝異常を発症する予
後不良な難治性疾患である。脂肪萎縮そのものに対する根治療法は開発されていないが、脂肪萎縮に伴
うインスリン抵抗性を中心とする代謝異常に対しては、レプチンの有効性が証明され、レプチン製剤の市販
が最近開始された適用となる。
2.原因
脂肪萎縮症には遺伝子異常による先天性のものと、自己免疫などによる後天性のものが存在し、その
それぞれに全身の脂肪組織が欠如する全身性脂肪萎縮症と、下肢などの特定の領域に限局して脂肪組
織が消失する部分性脂肪萎縮症が存在する。先天性脂肪萎縮症の原因遺伝子は近年相次いで報告され
て、AGPAT2、BSCL2、CAV1、PTRF 各遺伝子のホモ接合体変異又は複合ヘテロ接合体変異が知られてい
るが、脂肪萎縮のメカニズムについては不明なものが多い。後天性の多くは自己免疫異常によるものと考
えられているおり、後天性全身性脂肪萎縮症は、脂肪組織の減少・消失が出現する以前にしばしば皮下脂
肪織炎や若年性皮膚筋炎、若年性関節リウマチなどの膠原病の合併が認められるが、こちらもその詳細
は明らかでない。
3.症状
脂肪萎縮症では脂肪組織の減少に伴いインスリン抵抗性を特徴とする糖尿病を発症する。強いインス
リン抵抗性のため従来の糖尿病治療薬ではコントロールが困難で、糖尿病性網膜症や腎症、神経障害を
高頻度に合併する。また著明な高中性脂肪血症や非アルコール性脂肪肝も認められる。血中中性脂肪濃
度の著しい上昇は、しばしば急性膵炎をひき起す。非アルコール性脂肪肝も重度であることが多く、肝硬変
への進展もしばしば認められる。インスリン抵抗性は高インスリン血症をもたらし、さらに骨格筋肥大や心筋
肥大をはじめとする臓器腫大や黒色表皮腫をもたらす。これはインスリンが有している細胞増殖作用や成
長促進作用に加えて、インスリンとインスリン様成長因子受容体とのクロストークによる機序が考えられて
いる。これに関連して先天性脂肪萎縮症では、小児期の発育速度は早いが骨端閉鎖の時期も早く、成人
症例では先端巨大症様の外観を呈する。さらに女性症例では多曩胞多嚢胞性卵巣症候群や高アンドロゲ
ン血症を呈し、月経異常や多毛症、外性器肥大が高頻度に認められる。後天性部分性脂肪萎縮症のうち、
抗 HIV 治療薬の使用や骨髄移植後では皮下脂肪組織の消失が認められ、C3 補体価の低下では上半身
の脂肪組織の消失を合併する。
4.治療法
現在のところ脂肪萎縮そのものに対する治療法は無い。このため脂肪萎縮症に対する治療は美容上
の問題に対する形成外科的手術や代謝合併症に対する対症治療に限られている。最近、脂肪萎縮症に伴