参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (239 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
抗リン脂質抗体(aPL)には、抗カルジオリピン抗体(aCL)、ループス抗凝固因子(LAC)、ワッセルマン
反応(STS)偽陽性などが含まれるが、これらの抗体を有し、臨床的に動・静脈の血栓症、血小板減少症、
習慣流産・死産・子宮内胎児死亡などをみる場合に抗リン脂質抗体症候群(APS)と称せられる。全身性エ
リテマトーデス(SLE)を始めとする膠原病や自己免疫疾患に認められることが多いが(続発性)、原発性
APS も存在する。また、多臓器梗塞を同時にみる予後不良な病態は、劇症型抗リン脂質抗体症候群
(catastrophic APS)と称せられる。原因は未だ不明である。
2.原因
aPL は APTT の延長をもたらすが、臨床的には凝固亢進し、血栓症を来す。その機序は不明であるが
いくつかの仮説が出されている。それらは、1.リン脂質依存性凝固反応を抑制的に制御しているβ2‐GPIβ
2 グリコプロテイン I を阻害する、2.プロテイン C の活性化を阻害する、3.血管内皮細胞上のトロンボモジ
ュリンやヘパラン硫酸を阻害ないし障害する、4.凝固抑制に働く血管内皮細胞からのプロスタサイクリン産
生を抑制する、5.血管内皮細胞からのフォンウィルブランド(von Willebrand)因子やプラスミノゲンアクティ
ベータインヒビターの産生放出を増加させる、などである。
3.症状
aPL は、動静脈血栓症、自然流産・習慣流産・子宮内胎児死亡、血小板減少症などと相関する。また、
クームス抗体陽性をみる自己免疫性溶血性貧血や Evans 症候群をみることもある。関連する主な症状を表
1に示す。これらは、SLE や自己免疫疾患に限らず幅広い疾患にまたがって認められる。急速に多発性の
臓器梗塞を来す catastrophic APS では、強度の腎障害、脳血管障害、ARDS 様の呼吸障害、心筋梗塞、
DlC などの重篤な症状をみる。
抗リン脂質抗体症候群にみられる症状
①血栓症
<静脈系>
血栓性静脈炎、網状皮斑、下腿潰瘍、網膜静脈血栓症、肺梗塞・塞栓症、血栓性肺高血圧症、バッド・
キアリ(Budd-Chiari)症候群、肝腫大など。
<動脈系>
皮膚潰瘍、四肢壊疸、網膜動脈血栓症、一過性脳虚血発作、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、疣贅性心
内膜炎、弁膜機能不全、腎梗塞、腎微小血栓、肝梗塞、腸梗塞、無菌性骨壊死など。
②習慣流産、自然流産、子宮内胎児死亡
③血小板減少症
④その他