参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (54 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
シャルコー・マリー・トゥース病(Charcot-Marie-Tooth disease:CMT)は、臨床症状、電気生理学的検査
所見、神経病理所見に基づいて、脱髄型、軸索型、中間型に大別され、さらにいくつかのサブタイプに分け
られる。脱髄型 CMT では、一般的に神経伝導速度は 38m/s 以下、活動電位はほぼ正常又は軽度低下を
示し、腓腹神経所見では節性脱髄、onion bulb の形成を認める。軸索型 CMT では、神経伝導速度は正常
または軽度低下を示すが、活動電位は明らかに低下し、腓腹神経所見では有髄線維の著明な減少を示す。
いずれとも分けられない場合は、中間型 CMT としている。原因遺伝子が次々と明らかになり、その病態の
解明が進んでいる。
2.原因
これまでに 40100 種類以上の CMT 原因遺伝子が特定されている。同一の遺伝子であっても、異なる臨
床型を示す場合がある。我が国では CMT の遺伝子診断に関し、DNA chip を用いたハイスループットな診
断法が確立され、大きな進展が見られている。遺伝子異常を示す CMT の割合はそれほど高くなく、今後、
我が国に多い遺伝子異常の検討が必要である。
多い遺伝子異常の検討が必要である。
3.症状
CMT は、一般的に四肢、特に下肢遠位部の筋力低下と感覚障害を示す疾患であるが、近年の原因遺
伝子の解明に伴い中枢神経系の障害も含む多様な臨床症状が明らかとなってきている。まれに、四肢近
位部優位の筋力低下・筋萎縮を示す例もある。自律神経障害が前面に出るタイプもある。
4.治療法
CMT の治療に根本的な治療法は確立しておらず、理学療法、手術療法、薬物治療がある。治療薬の
開発に関しては、(1)神経栄養因子、(2)プロゲステロン阻害薬及び刺激薬、(3)クルクミンなどの研究が
進められている。足関節変形などに対する手術療法など対症療法が主である。ロボットスーツ「HAL®」を含
むロボット工学の応用もによるリハビリテーション療法も有効とされる。 治療法の開発に関しては、薬物療
法、遺伝子治療の研究が進められ、欧米ではいくつかの臨床試験が進行中である。
5.予後
CMT 全体に共通する一般的な合併症としては、腰痛、便秘、足関節拘縮などが多く見られる。遺伝子異
常のタイプによって、声帯麻痺、自律神経障害(排尿障害、空咳、瞳孔異常)、視力障害、錐体路障害、糖
尿病、脂質代謝異常症などの合併が見られる。重症例では、呼吸不全を来たし、人工呼吸器を必要とする
場合もある。