参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (789 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
1956 年内分泌科医のプラダーと神経科医のウィリが合同で発表した先天異常症候群である。15 番染
色体長腕の異常による視床下部の機能障害のため、満腹中枢をはじめ体温、呼吸中枢などの異常が惹起
される。頻度は、1万人から1万5千人に1人とされ、人種差はないとされている。
2.原因
15 番染色体長腕上の刷り込み遺伝子の障害で、欠失型、片親性ダイソミー型、刷り込みセンターの異
常など3つの病因が考えられている。現在では、メチレーション試験により、99%以上の確定診断が可能で
ある。遺伝子異常は、15 番染色体 15q11-q13 領域の欠失(70%)、同領域の母性ダイソミーUPD(25~
28%)、同領域のメチル化異常(2~5%)とされる。病因の違いで多少の臨床症状に差は出るが、原則同
様と考えてよい。父性発現遺伝子 SNORD116 の発現消失がプラダーウイリ症候群を招く最も重要な原因と
されている。
3.症状
内分泌・神経の症状を有する先天異常症候群であり、内分泌学的異常(肥満、低身長、性腺機能障害、
糖尿病など)、神経学的異常(筋緊張低下、特徴的な性格障害、異常行動)がみられる。他に、小さな手足、
アーモンド様の目、色素低下など身体的な特徴を示す。臨床症状の特徴は、年齢毎に症状が異なることで
ある。乳児期は、筋緊張低下による哺乳障害、体重増加不良、幼児期から学童期には、過食に伴う肥満、
思春期には二次性徴発来不全、性格障害、異常行動、成人期には、肥満、糖尿病などが問題となる。
4.治療法
現在まで治療の根幹は、①食事療法、②運動療法、③成長ホルモン補充療法、④性ホルモン補充療法、
⑤精神障害への対応の5つである、①から④までの治療は、ほぼ世界的に認容されている。⑤に関しては、
今後の課題である。
5.予後
主に肥満に関連した心血管障害・睡眠時無呼吸・糖尿病が生命予後に影響を与える。