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参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (1173 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
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316 カルニチン回路異常症
○ 概要
1.概要
カルニチンサイクルを構成する酵素である、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)、カルニ
チンパルミトイルトランスフェラーゼ2(CPT2)、カルニチン/アシルカルニチントランスロカーゼ(CACT)及び
カルニチンをミトコンドリア内に輸送するカルニチントランスポーター(OCTN-2OCTN2)の先天的な欠損によ
り、長鎖脂肪酸のミトコンドリア内への転送が障害されされる。その結果、脂肪酸代謝が十分行われなくな
り、その結果エネルギー産生の低下を引き起こす。臨床病型として、新生児期発症型、乳幼児期発症型、
遅発型に分類される。
2.原因
CPT1 欠損症は、CPT1A 遺伝子、CPT2 欠損症は CPT2 遺伝子、CACT 欠損症は SLC25A20 遺伝子、
OCTN-2OCTN2 異常症は SLC22A5 遺伝子の変異によって生じるが、同じ遺伝子変異でも未発症例や重
症例があることなど、病態が未解明である部分が多い。
3.症状
カルニチン回路異常症の共通した症状として、意識障害・痙攣、嘔吐、横紋筋融解、体重増加不良、代
謝性アシドーシス、肝機能障害に加え、各臓器への脂肪蓄積、肝機能不全に伴う脳症・低ケトン性低血糖・
高アンモニア血症、筋力低下、心筋症など症状は多岐にわたる。
本症はタンデムマスを用いた新生児マススクリーニングにおいて、症状が出る前(発症前)に発見される
こともある。
4.治療法
根治的な治療法は確立しておらず、対症的な治療にとどまる。
マススクリーニングで見つかった際には食事間隔の指導、中鎖脂肪酸トリグリセリドの使用、L-カルニチ
ンの投与などによる急性発作予防が主である。
急性期の治療:ブドウ糖を中心とした輸液、L-カルニチンの投与(OCTN-2OCTN2 欠損症では必須であり
大量投与を行い、その他は低カルニチン血症の場合に考慮)、高アンモニア血症の治療(アルギニン、フェ
ニル酪酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムなど)、各種ビタミン剤、ベザフィブラート(CPT2 欠損症などで報告
例あり)などの投与を行う。
慢性期の治療:L-カルニチン内服(OCTN-2OCTN2 欠損症では必須であり大量投与を行う)、許容空腹
時間の厳守、血糖モニタリング、栄養管理(高炭水化物、低脂肪食)、中鎖脂肪酸の摂取、シックデイの際
の早期医療介入、運動制限など永続的な管理が必要である。
成人期の治療:成人期も基本的な病態の変化はなく、L-カルニチンの内服(OCTN-2OCTN2 欠損症では
必須であり大量投与を行う)、定期的な通院、運動制限、シックデイの際の早期医療介入、妊娠時期の血
糖や肝機能のコントロールなどを行う必要がある。
5.予後