参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (918 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html |
出典情報 | 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
○ 概要
1.概要
別名、低リン血症性くる病・/骨軟化症と呼ばれる疾患である。このうち、成長軟骨帯閉鎖以前に発症す
るものを、くる病と呼んでいる。くる病・/骨軟化症は、骨石灰化障害を特徴とする疾患で、下記の症状によ
り、罹患患者の QOL を重度に障害しうる。ビタミン D 欠乏性くる病・/骨軟化症とは異なり、天然型ビタミン D
により完治しない。
2.原因
近年の研究により、ビタミン D 抵抗性くる病・骨軟化症の多くは、繊維線維芽細胞増殖因子 23
(fibroblast growth factor23:FGF23)の過剰産生によるもの FGF23 関連低リン血症性くる病/骨軟化症であ
ることが明らかにされてきたされた。FGF23 は、腎尿細管リン再吸収と、血中 1,25-水酸化ビタミン D 濃度の
低下を介する腸管リン吸収の抑制により、血中リン濃度を低下させるホルモンである。FGF23 は、生理的に
は骨で産生されるものと考えられている。X 染色連鎖性低リン血症性くる病(X-linked hypophosphatemic
rickets: XLH)などの遺伝性のビタミン D 抵抗性くる病では、いくつかの遺伝子異常により骨での FGF23 産
生が亢進するものと考えられている。ただし、これらの原因遺伝子変異がどのような機序により FGF23 を促
進しているかは不明である。また、後天性ビタミン D 抵抗性骨軟化症の代表的疾患である腫瘍性骨軟化症
では、PMTMCT(Phosphaturicphosphaturic mesenchymal tumor, mixed connective tissue variant)などの
腫瘍より FGF23 が過剰産生される。この場合にも、腫瘍による FGF23 過剰産生の機序は不明である。さら
に経静脈鉄製剤により、FGF23 高値を伴う低リン血症性くる病/骨軟化症が惹起されることがある。
3.症状
ビタミン D 抵抗性くる病では、O 脚や X 脚などの骨変形、成長障害、脊柱の湾曲、頭蓋癆、大泉門の開
離、肋骨念珠、関節腫脹が生じうる。ビタミン D 抵抗性骨軟化症では、筋力低下や骨痛が主徴となる。適切
な治療が行われないと、著明な筋力低下から、ビタミン D 抵抗性骨軟化症患者は完全に寝たきりとなってし
まう場合もある。
4.治療法
リン製剤と活性型ビタミン D3 製剤が、使用されている。ただし、これらは病因に基づく治療ではなく、ま
た下痢や高カルシウム血症などによる腎機能障害、二次性副甲状腺機能亢進症などの有害事象が問題と
なる場合がある。またヒト抗 FGF23 モノクローナル抗体であるブロスマブが、2019 年に本邦で認可された。
腫瘍性骨軟化症は、原因腫瘍の完全摘除が治療の第一選択である。腫瘍が摘除できない場合は、内科的
治療を行う。経静脈鉄製剤による低リン血症性くる病/骨軟化症の場合には、薬剤の中止により病態は改
善する。
5.予後