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参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (1030 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
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276 軟骨無形成症
○ 概要
1.概要
軟骨無形成症は四肢短縮型低身長症を呈する骨系統疾患の代表で、およそ2万出生に1人の割合で
発生する。特徴的な身体所見と X 線像から診断は容易であるが有効な治療法はない。成人身長は男性
で約 130cm、女性で約 125cm124cm と低く著明な四肢短縮のため、患者は日常生活で様々な制約をう
ける。脊柱管狭窄のため中高年になると両下肢麻痺を呈したり、下肢アライメントの異常による変形性
関節症を発症し歩行障害を生じたりすることが少なくない。
2.原因
原因遺伝子は染色体領域 4p16.3 に存在する FGFR3(線維芽細胞増殖因子受容体3)である。遺伝様
式は常染色体顕性遺伝(優性遺伝)であるが、約 90%以上は新規突然変異によるものとされ、健康な両
親から生まれる。患者の 95%に FGFR3 の G380R 点変異(380 番目のグリシンがアルギニンに置換され
る変異)をみとめる。FGFR3 の構造は、細胞外領域、膜貫通領域、細胞内領域(チロシンキナーゼドメイ
ンを含む)の3つの部分に分けられるが、本症の点変異は膜貫通領域に存在する。一方、同じ FGFR3 の
チロシンキナーゼドメインに存在する点変異(N540K 点変異が代表的)では軟骨低形成症となる。FGFR3
のシグナルは軟骨細胞の増殖に対し抑制的に作用するが、本症の原因となる変異型 FGFR3 は受容体
シグナルが恒常的に活性化される機能獲得型変異であり、軟骨細胞の分化が促進され内軟骨性骨化
の異常を来し長管骨の成長障害、頭蓋底の低形成などを生じると考えられている。
3.症状
出生時から四肢短縮を認めるが、出生身長は、さほど小さくはない。成長とともに低身長が目立つよ
うになり、成長期の身長増加は小さい。成人身長は男性で約 130cm、女性で約 125cm である。顔貌の特
徴は出生時からみられる。乳幼児期(3歳頃まで)に問題になるのは、大後頭孔狭窄及び頭蓋底の低形
成による症状である。大後頭孔狭窄では延髄や上位頸髄の圧迫により、頚部の屈曲制限、後弓反張、
四肢麻痺、深部腱反射の亢進、下肢のクローヌス、中枢性無呼吸がみられる。水頭症も2歳までに生じ
る可能性がもっとも高い。無呼吸、呼吸障害は中枢性と鼻咽頭狭窄による閉塞性の要因から生じる。胸
郭の低形成が高度な場合、拘束性肺疾患や呼吸器感染症の反復、重症化も問題になる。中耳炎の罹
患も多く、本症の約 90%で2歳までに発症する。多くは慢性中耳炎に移行し、30~40%で伝音性難聴を
伴う。脊柱管狭窄は必発であり、小児期に症状が発現することはまれであるが、成長とともに狭窄が増
強し、しびれ、脱力、間欠性跛行、下肢麻痺、神経因性膀胱による排尿障害などを呈することが多い。側
彎や亀背などの脊柱障害や、腰痛、下肢痛もしばしばみられる。乳児期に運動発達の遅延はあるが知
能は正常である。このほか、咬合不整、歯列不整がみられる。