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参考資料3 診断基準等のアップデートの概要 (1123 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46002.html
出典情報 厚生科学審議会・社会保障審議会(合同開催) 厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会(第73回 11/26)社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病対策委員会(第4回 11/26)(合同開催)《厚生労働省》
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303 アッシャー症候群
○ 概要
1.概要
アッシャー(Usher)症候群は、難聴に網膜色素変性症を伴う症候群性の疾患である。難聴の程度は中等
度~重度難聴までと幅広く、先天性に発症する例がほとんどを占める。また網膜色素変性は遅発性に発症
し、徐々に視野狭窄が進行して社会的失明となる例が多い。
2.原因
アッシャー(Usher)症候群は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式をとる疾患である。原因遺伝子としては
現在までに9つが同定されている。タイプ1は MYO7A、USH1C、CDH23、PCDH15、USH1G であり、タイプ2は

USH2A、ADGRV1 (GPR98、)、WHRN (DFNB31)、タイプ3は CLRN1 である。
病態に関しては感音難聴と網膜色素変性症を伴うことから、その障害部位は内耳(特に有毛細胞)と網
膜(特に桿体細胞)の障害であると考えられており、内耳と網膜に共通する疾患発症メカニズムと内耳特有の
疾患発症メカニズムの組み合わせによる発症が推定されているが、その詳細は不明である。
3.症状
症状の程度とその発症時期によって3つのタイプに分類されている。視覚症状は夜盲にはじまり、その後
視野狭窄が進行していく経過をとる例がほとんどである。
アッシャー(Usher)症候群 タイプ1
先天性の高度~重度難聴を呈する。両側前庭機能障害を伴う例が多く、視覚症状は 10 歳前後より生じ
る。
アッシャー(Usher)症候群 タイプ2
先天性の高音障害型難聴を呈する。視覚症状は思春期以降に生じることが多い。前庭機能は正常であ
る例が多い。
アッシャー(Usher)症候群 タイプ3
進行性の難聴を呈し、前庭機能障害の有無、及び視覚症状の発症時期は様々である。
4.治療法
難聴に対する治療法
現時点では疾患そのものを治療する有効な治療法は無い。
難聴の程度に応じて、補聴器や人工内耳によって聴力を補う治療が行われている。
特に先天性の高度難聴を呈するアッシャー(Usher)症候群タイプ1症例に対しては補聴器での聴取は困
難でありその効果は限定的であると考えられるため、早期からの人工内耳装用が望ましい。また、将来的に
網膜色素変性症が進行し、社会的失明となることを予測し、早期からの両側人工内耳装用により聴覚情報を
担保することが QOL 向上のために有用であると考えられる。