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令和6年版厚生労働白書 全体版 (121 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
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第1部

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

士等による継続的なカウンセリング、訴訟に

いう家族に、かつて夫がギャンブル依存で失

おける情状証人としての出廷などの支援も

踪した経験があるという方が、夫の回復まで

行っている。

の経験を話していた。なかには、家族の回復
加している方もいた。30 家族ほど集まるこ

害、窃盗症、市販薬・処方薬依存などに関す

ともあり、どこにも相談できなかった家族

る相談も増えてきており、依存症が多様化し

が、励ましと希望を与え合う場となってい

ているという。

た。
施設長は「家族が依存症という病気への理

回復プログラム~ある日の発言~

解を深めると、家族の行動が変わり、それが

ラムを受けて回復の終盤ステップにある方

依存問題の解決の中核を担う人々だ」と語

ある日のミーティングでは、1 年間プログ

が、仲間と共に課題に取り組んでいた。「み

本人の行動を変え、回復につながる。家族は
る。

んなから、顔つきも発言内容も、以前と異な
ると言われた。12 ステッププログラムや生
活訓練をすることで、身体だけでなく、考え
方も健康になった。以前は、さみしさを感じ

2

こころの健康に関する取組みの現状

がほとんどであったが、現在は、性嗜好障



を支援し続けるために、7 年ほど継続して参



設立当初はアルコールやギャンブルの相談

たらギャンブルをしていた。今は、ここで出
会った仲間と話したり、運動をしたりして対
処している」と、少し恥ずかしそうな笑顔を
浮かべながら、嬉しそうに語っていた。ほか
の方からも、
「今まで自分一人で考えすぎて
いた。今は仲間に話せる」
「ギャンブルでスト
レスを発散しているつもりが、逆にストレス
をためていた。自分のストレスサインがわか
るようになった」といった発言が聞かれた。

家族も置き去りにしない。家族が変われ
ば、回復の近道となる

様々な関係機関と連携した支援

ジャパンマック福岡では、支援が必要な人

に適切な支援を届けるべく、県や市、精神保
健福祉センターをはじめ、警察、保護観察
所、地方更生保護委員会などとの連携にも取
り組んでいる。こうした連携は、依存症の方

依存症のストレスは本人だけの問題ではな

の早期発見・早期支援につながるだけでな

い。家族も大きなストレスを感じ、接し方に

く、研修会の開催や講師の派遣により、関係

迷い、誰にも相談できず孤立していることが

機関や地域における依存症に対する正しい知

ある。ジャパンマック福岡では、そうした家

識の普及にも寄与している。

族への支援にも力を入れている。毎月、「ク
ラフト勉強会(アメリカで開発された依存症
者と家族のためのプログラム)
」を開催する
とともに、定期的なカウンセリングや家族同
士の相互学習の場を設けている。

誰もが自分らしく生き生きと暮らせる社
会を目指して

ジャパンマック福岡は、誰もがありのまま

でいられる平和な社会づくりをビジョンに掲

ある日の勉強会では、本人と対立せずに治

げる。「今までの人生において失敗した経験

療へつなげる声がけを学んでいた。「ここに

が多いと、治療への動機付けが難しい。依存

参加するようになってから、息子との距離感

症は心の病気ではなく、脳の病気であると

が段々わかってきた。学ぶことにより、介護

知ってほしい。意思が強ければ克服できると

している母への声がけも変わり、母とも良好

いうものではない。適切な治療や支援が必要

な関係ができている」という発言が聞かれ

だ」と施設長は語る。実は、施設長自身も依

た。息子がギャンブル依存で家出していると

存症の経験者であることを公表している。

令和 6 年版

厚生労働白書

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