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令和6年版厚生労働白書 全体版 (157 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/index.html
出典情報 令和6年版厚生労働白書(8/27)《厚生労働省》
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第1部

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

自己決定するプロセスを支える支援として、当事者にとって身近に経験を共有できる仲
間がいることの安心感や、ロールモデルとしての役割が期待されるピアサポート*2 の活用
をさらに進める必要があるだろう。
(ピアサポートだけでなく、スティグマの解消にも当事者の役割は欠かせない)
ピアサポートには、こころの不調を抱える当事者への支援という役割だけでなく、当事
者自身がピアサポーターとして社会のなかで役割を持つという側面もある。こころの不調

に向けた取組みにおいても、当事者の役割は欠かせない。たとえば、ピアサポーターや当
事者団体、民間事業者等との協働により、当事者やその家族等が集う場や地域住民との交
流の機会を確保していく等の取組みを、ピアサポーターへの負担にも配慮しながら丁寧に
進めていくことが重要である。

コラム

薬物依存症者への回復支援の取組み
(認定特定非営利活動法人京都ダルク)

薬物依存症者への回復支援事業を行ってい
る京都ダルクを訪ね、お話を伺った。

回復を支えるために

*2

する。入所施設「ネクサス」では、共同生活
を営みながら、生活上の相談を受け、自立し
ていくためのサポートをしていく。
薬物依存症者は、薬物を使い始める前か

京都ダルクは、薬物依存症者が薬物から解

ら、様々な理由により「孤立感」を抱えてい

放されるための薬物依存症回復支援施設であ

るという。そのため、他者を信頼できなくな

る。「依存症は、医学的に完治することはな

り、安心・安全な環境を居心地悪く思い、

いが、回復して新しく人生を生き直すことは

「他者とつながる」ことに難しさを感じてい

可能である」という考えのもと、薬物を止め

ることがあるという。そして、薬物を使用す

続けたい仲間を手助けすることを目的に、

ることにより、さらに孤立感を深めてしま

様々な事業を行っている。まずは、自宅から

う。こうしたことから、通所施設と入所施設

通所するか、京都ダルクの施設に入所した上

のいずれも、少しずつ他者とつながり、人間

で通所するかをスタッフと相談して決め、回

関係を構築する練習をしてもらうことを狙い

復に向けた計画を立てていく。通所施設「マ

としたプログラムを実践している。そして、

ハロ」では、ミーティング、昼食プログラ

他者とつながる中で「安心・安全」を積み重

ム、ボランティア活動、農作業などを行い、

ね、いずれは社会生活をおくれるようにス

薬物を使わない生活リズムを作るサポートを

タッフがサポートしていく。

3

こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に

また、こころの不調に対する地域住民の理解の促進やスティグマ(差別や偏見)の解消



互いに「助け合う」仕組みを実装していく上でも重要であるといえるだろう。



の経験者が、自らの経験に基づき社会で役割を果たしていくことは、共生社会のなかに、

ピアサポートとは、たとえば、平成 30 年度厚生労働科学研究費補助金(障害者政策総合研究事業(身体・知的分野))
「障害者ピアサポー
トの専門性を高めるための研修に関する研究」(分担)研究報告書「ピアサポーター基礎研修のプログラムの構築に関する研究Ⅰ」にお
いては、「障害のある人生に直面し、同じ立場や課題を経験してきたことを活かして、仲間として支える」こととされている。

令和 6 年版

厚生労働白書

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